政府の「新成長戦略」以来 医療や介護の「産業化」についてさまざまな議論が交わされています。
医療・介護が「『成長』産業足り得るか」については 賛否両論があることも理解できますが「産業か否か」についてはいうまでもないところです。
ところがTPPへの参加問題に絡めて「医療の産業化を許してはならない」的な論調が目立ってきているように思えます。
混合診療を進めるべきか否かについての議論は 簡単には決着がつくものではないでしょうが 医療が「産業であってはならない」という極論は 市場一辺倒の「原理主義」となんら変わりがないでしょう。
「皆保険下の現状から何らかの変化の先を意図して『医療の産業化』という言葉が使われ それが医療を市場に乗せる方向への変化を意味するのであれば支持しない」(平成23・24年度医療政策会議報告書)という立場の権丈善一慶應義塾大学商学部教授も「とはいえ…医療の平等消費社会を維持するために国家財政の持続可能生を犠牲にしなければならない場合には…消極的に受け容れざるを得ない状況になることはある…今の日本の財政状況の下 皆保険を堅持していくための安定財源を確保する見通しが立たないのであれば…診療報酬の引き上げも期待してはいけないと思う。…公共政策を論じる際には負担と給付をセットにして論じるしか方法はない」と述べています。
医療や介護の世界の「聖域」意識は 前向きな議論を阻む最大の壁としていまだに存在しています。
2012年2月15日水曜日
2012年2月7日火曜日
自ら結論を導き出すのがプロ経営者
鹿児島市で在宅医療に取り組んでいらっしゃる医師の中野一司さんの主催するメーリングリストで 安冨歩東京大学教授の「東大話法」なる概念を知りました。
「常に自らを傍観者の立場に置き 自分の論理の欠点は巧みにごまかしつつ 論争相手の弱点を徹底的に攻撃することで 明らかに間違った主張や学説をあたかも正しいものであるかのように装い さらにその主張を通すことを可能にしてしまう論争の技法であると同時にそれを支える思考方法のこと」だそうです。
さて先日(2/4)私の会社で「2012年報酬改定でどう変わる介護事業」というセミナーを開催しました。
毎回 参加者にはアンケートを実施し今後の参考にさせていただいています。とりわけ 不満な点やわかりにくかった点を正直に書いていただくことは 改善のための最高のヒントだと思っています。
今回のセミナーでは「資料が見にくい。あいまいな表現が多い。講師のビジョンを示せ」というご指摘をいただきました。
ありがたく受け止めはしますが 残念ながらもう一度同じセミナーを開催しても 同じ資料で同じお話をするしかありません。
私のセミナーの対象者は「経営者ないしは経営者を目指している方」が対象です。
そのような方にとって必要なのは「コンサルタント青木ならこうする」という現場を持たない傍観者の一般論ではなく「経営者である自分が自社の方針・戦略を立てる」ための道筋やロジックです。
ご意見をいただいた方は事務職のようですが 職種を問わず「考える」ことが不得手な若い人が増えているのかもしれません。
たしかに持論や自前の論理を持たない人には不満な内容だったと思います。常に「聞き手にどうすれば受け身ではなくポジティブに考えもらえるか」を意図しているため そういった反応が出てくるのも当然だと感じています。
以前「『暴論』を吐かないのがプロフェッション」 という記事を書きました。
プロフェッションの言説を通して 自らの方向性と結論を導き出すのがプロの経営者なのです。
「常に自らを傍観者の立場に置き 自分の論理の欠点は巧みにごまかしつつ 論争相手の弱点を徹底的に攻撃することで 明らかに間違った主張や学説をあたかも正しいものであるかのように装い さらにその主張を通すことを可能にしてしまう論争の技法であると同時にそれを支える思考方法のこと」だそうです。
さて先日(2/4)私の会社で「2012年報酬改定でどう変わる介護事業」というセミナーを開催しました。
毎回 参加者にはアンケートを実施し今後の参考にさせていただいています。とりわけ 不満な点やわかりにくかった点を正直に書いていただくことは 改善のための最高のヒントだと思っています。
今回のセミナーでは「資料が見にくい。あいまいな表現が多い。講師のビジョンを示せ」というご指摘をいただきました。
ありがたく受け止めはしますが 残念ながらもう一度同じセミナーを開催しても 同じ資料で同じお話をするしかありません。
私のセミナーの対象者は「経営者ないしは経営者を目指している方」が対象です。
そのような方にとって必要なのは「コンサルタント青木ならこうする」という現場を持たない傍観者の一般論ではなく「経営者である自分が自社の方針・戦略を立てる」ための道筋やロジックです。
ご意見をいただいた方は事務職のようですが 職種を問わず「考える」ことが不得手な若い人が増えているのかもしれません。
たしかに持論や自前の論理を持たない人には不満な内容だったと思います。常に「聞き手にどうすれば受け身ではなくポジティブに考えもらえるか」を意図しているため そういった反応が出てくるのも当然だと感じています。
以前「『暴論』を吐かないのがプロフェッション」 という記事を書きました。
プロフェッションの言説を通して 自らの方向性と結論を導き出すのがプロの経営者なのです。
2012年1月27日金曜日
被災地特例による看護師1人の開業が実現
昨年4月22日に公布された「東日本大震災に対処するための基準該当訪問看護の人員、設備及び運営に関する基準(平成23年厚生労働省令第53号)」を活用した 看護師による一人からの開業第1号が誕生しました。
1月23日付けで 福島県福島市の「特定非営利活動法人まごころサービス福島センター」(須田弘子理事長)が 市から「特定居宅介護サービス登録通知書」を受け取りました。
これまで この特例による基準該当訪問看護事業所申請は13市町村でが行われましたが 受理されたのは福島市だけです。
この原因は
① 被災地(特定被災区域)において
②「基準該当サービス」(市町村の裁量)で
③「期間限定」(2012年2月29日までの間)
というきわめて限定的な条件が課せられたためだと考えられます。
とりわけ ②の「基準該当サービス」であることが最大のネックです。
判断を委ねられることとなった市町村は「震災対応で行政の手が回らない」こと さらには前例主義の悪しき慣習で「今までどこもやったことのないことは行わない」などといった理由によって受理がままならなかったのです。
また このケースでもサービス開始が2月1日で 特例期間は29日間しか残っていません。
ともあれ 現在約5万5千人が避難生活をしている福島市で認められた意義は小さくはありません。
一人でも多くの方がこのサービスを利用して 厳しい被災地での生活の一助になってくれることを願います。
1月23日付けで 福島県福島市の「特定非営利活動法人まごころサービス福島センター」(須田弘子理事長)が 市から「特定居宅介護サービス登録通知書」を受け取りました。
これまで この特例による基準該当訪問看護事業所申請は13市町村でが行われましたが 受理されたのは福島市だけです。
この原因は
① 被災地(特定被災区域)において
②「基準該当サービス」(市町村の裁量)で
③「期間限定」(2012年2月29日までの間)
というきわめて限定的な条件が課せられたためだと考えられます。
とりわけ ②の「基準該当サービス」であることが最大のネックです。
判断を委ねられることとなった市町村は「震災対応で行政の手が回らない」こと さらには前例主義の悪しき慣習で「今までどこもやったことのないことは行わない」などといった理由によって受理がままならなかったのです。
また このケースでもサービス開始が2月1日で 特例期間は29日間しか残っていません。
ともあれ 現在約5万5千人が避難生活をしている福島市で認められた意義は小さくはありません。
一人でも多くの方がこのサービスを利用して 厳しい被災地での生活の一助になってくれることを願います。
2012年1月13日金曜日
介護報酬単価1月25日に公表
第88回社会保障審議会介護給付費分科会が 予定通り 1月25日に開催されることになりました。
同日 小宮山洋子厚生労働大臣から社会保障審議会長に対して「平成24年度介護報酬改定に係る諮問」がなされ 同分科会で介護報酬改定案が示され了承された後 即日「答申」が行われることになります。
表面的には1.2%プラス改定とされていますが 介護報酬で2.0%程度に相当する「介護職員等処遇改善交付金」が廃止されるため実質的に介護報酬は0.8%程度のマイナス改定といえます。
みなさまそれぞれ個別単価が気になると思われますが ここで発表される報酬単価の解説・分析は 2月4日(土)「2012年報酬改定でどう変わる介護事業 ‐医療介護の連携強化・地域包括ケア・処遇改善は実現するか」セミナーでどこよりも早く実施します。
報酬単価の後追いだけでは 事業の継続性(going concern)は担保できません。
2025年を見据えた事業戦略の羅針盤をお示しするつもりです。
同日 小宮山洋子厚生労働大臣から社会保障審議会長に対して「平成24年度介護報酬改定に係る諮問」がなされ 同分科会で介護報酬改定案が示され了承された後 即日「答申」が行われることになります。
表面的には1.2%プラス改定とされていますが 介護報酬で2.0%程度に相当する「介護職員等処遇改善交付金」が廃止されるため実質的に介護報酬は0.8%程度のマイナス改定といえます。
みなさまそれぞれ個別単価が気になると思われますが ここで発表される報酬単価の解説・分析は 2月4日(土)「2012年報酬改定でどう変わる介護事業 ‐医療介護の連携強化・地域包括ケア・処遇改善は実現するか」セミナーでどこよりも早く実施します。
報酬単価の後追いだけでは 事業の継続性(going concern)は担保できません。
2025年を見据えた事業戦略の羅針盤をお示しするつもりです。
2012年1月5日木曜日
イノベーションの実行者は「民」
3日付の日本経済新聞によると 枝野幸男経済産業大臣は同社とのインタビューで「子育て」「医療・介護」「省エネルギー」の3分野で新産業を創出するため 今月中に召集される通常国会に「課題対応型事業の促進法案を提出する」と表明しました。また昨年11月に枝野大臣が国家戦略会議に提出した資料には「近年の日本経済は 企業の生み出す付加価値の低迷・雇用環境の悪化と労働所得の低下・将来不安の増大と勤労世帯の予備的貯蓄の増大・国内消費の低迷・デフレによる投資の低迷という いわば縮小均衡が継続する『やせ我慢』の経済であった」と分析し これを「『イノベーションと需要の好循環』により『価値創造』による拡大均衡経済への転換を図る」という方針を打ち出しています。
支援対象となる新産業には「医療機関と民間企業が連携した高齢者向けの健康維持サービス」「都市部の24時間保育サービス」「介護ロボットの開発」などが想定されています。
法律ができたからといって 一挙にこれらの産業化が進むものではないでしょう。
なにより求められるのは事業者の意思です。
イノベーションを提唱した経済学者シュンペーターは その実行者のことをアントレプレナー(entrepreneur:企業者)と呼んだのです。
活力ある社会を生み出すのはお上ではなく 私たち民間の力です。
支援対象となる新産業には「医療機関と民間企業が連携した高齢者向けの健康維持サービス」「都市部の24時間保育サービス」「介護ロボットの開発」などが想定されています。
法律ができたからといって 一挙にこれらの産業化が進むものではないでしょう。
なにより求められるのは事業者の意思です。
イノベーションを提唱した経済学者シュンペーターは その実行者のことをアントレプレナー(entrepreneur:企業者)と呼んだのです。
活力ある社会を生み出すのはお上ではなく 私たち民間の力です。
2011年12月27日火曜日
困難を糧に前に進む
昨日 顧問先の「池ちゃん家・ドリームケア」の忘年会に招いていただきました。
辞める職員がほとんどいないという明るく前向きな社風がうかがえる 楽しいひとときを過ごしました。3月11日の後 社長を筆頭に 多くの職員のみなさんが被災地・被災者の支援をはじめ 現在も継続しています。
経営者がボランティアで長期不在でも「安心して任せられるようになった」と池谷千尋社長は職員に感謝の気持ちを述べていました。
不幸な出来事ではありましたが そこから違うものが見えてくる 違う行動をとるようになったのも事実です。
組織も人も困難を糧に成長するものだ ということを見せていただきました。
来年そしてその先も 私たちは前を向いていくことができるのです。
辞める職員がほとんどいないという明るく前向きな社風がうかがえる 楽しいひとときを過ごしました。3月11日の後 社長を筆頭に 多くの職員のみなさんが被災地・被災者の支援をはじめ 現在も継続しています。
経営者がボランティアで長期不在でも「安心して任せられるようになった」と池谷千尋社長は職員に感謝の気持ちを述べていました。
不幸な出来事ではありましたが そこから違うものが見えてくる 違う行動をとるようになったのも事実です。
組織も人も困難を糧に成長するものだ ということを見せていただきました。
来年そしてその先も 私たちは前を向いていくことができるのです。
2011年12月19日月曜日
若い世代には大きな潜在力が
17日昨年に引き続いて「ISFJ(日本政策学生会議)政策フォーラム2011」にゲストとして招かれました。
今年は社会保障度政策分科会で 慶應義塾大学 山田篤裕研究会・日本大学 宮里尚三研究会・中央大学 横山彰研究会・大阪大学 山内直人研究会・関西学院大学 上村敏之研究会・京都産業大学 福井唯嗣研究会 の6つのプレゼンテーションを聞きました。
昨年同様 学生たちのひたむきな取り組みに感動を覚えました。
講評をするだけでなく 決勝へ進む研究会を選出するために評点をつけることも行いましたが 彼らのここまでに至るプロセスや熱意は甲乙はつけられないほど素晴らしいものです。
このうち福井唯嗣研究会の「介護提供体制の地域間格差~介護従事者確保問題の処方箋」が決勝プレゼンへ進んだと学生プレゼンターからお礼のメールが届きました。これもうれしいことです。
若い世代には 大きなパワーとポテンシャルがあります。
それをが発揮できるステージをつくるのは私たちの責任でしょう。
今年は社会保障度政策分科会で 慶應義塾大学 山田篤裕研究会・日本大学 宮里尚三研究会・中央大学 横山彰研究会・大阪大学 山内直人研究会・関西学院大学 上村敏之研究会・京都産業大学 福井唯嗣研究会 の6つのプレゼンテーションを聞きました。
昨年同様 学生たちのひたむきな取り組みに感動を覚えました。
講評をするだけでなく 決勝へ進む研究会を選出するために評点をつけることも行いましたが 彼らのここまでに至るプロセスや熱意は甲乙はつけられないほど素晴らしいものです。
このうち福井唯嗣研究会の「介護提供体制の地域間格差~介護従事者確保問題の処方箋」が決勝プレゼンへ進んだと学生プレゼンターからお礼のメールが届きました。これもうれしいことです。
若い世代には 大きなパワーとポテンシャルがあります。
それをが発揮できるステージをつくるのは私たちの責任でしょう。
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