2009年7月28日火曜日

「幸福論」を語る医師に共感

26日「在宅緩和ケア支援センター」の研修会で 東京都大田区で在宅医療に取り組む鈴木央(ひろし)医師の講演を聞きました。「在宅緩和ケアにおける疼痛・輸液管理の考え方」という 医療従事者向けのテーマでしたが 在宅で看取りを行うにあたってスピリチュアルケアの重要性についての指摘には 大いにを共感を覚えました。
死を間近にして 人生(の目的・意味)や未来(時間)を喪失してしまったように感じてしまった人に医師としてどんな投げかけをするのか。
「(病院ではなく)家庭で家族から暖かい世話を受けているあなたを見ていると 私には少なくとも『不幸ではない』と思える」と話すと ほとんどの人が肯定的な反応を示して いま生きている意味や自己の存在に再び価値を見い出すようになる と話されました。
「在宅ホスピス」や「在宅での看取り」といわれるケアは「死を迎える」ためのものではない。今を 意味のある日々を生きるための営みのことであると実感させられました。
また こんなお医者さんが私たちの身近にいること さらにケア担当者を含めた専門家同士が手を携えていこうと提案されていることに心強さを覚えました。

2009年7月22日水曜日

事業者は新しい在宅ケアのあり方の提案を

東京都は 医療や介護が必要になっても高齢者が住み続けられる住まいの充実を図るため 診療所や訪問介護事業所など医療・介護系の事業所を併設した高齢者専用賃貸住宅のモデル事業(東京都医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業)の公募を開始し 16日には事業者向け説明会も実施されました。
これに先立って UR(都市再生機構)が 都の担当者などを講師に招いて「高齢者向け住宅のこれから」と題したセミナーを開催しました。質疑の中で 参加者から「住宅型有料老人ホームや高専賃では 1人の介護員がある利用者をケアしている重要性を理解していない的外れなもので がっかりさせられました。
施設から在宅への方針の下 高齢者向け住宅の整備はもっとも大きな課題のひとつです。ハードの整備は経済的な効果も大きいとあって建設関係者の関心も高く 先行きは暗くないと考えられます。しかし そこで行われるケアについては「新しい在宅ケア」ゆえにクリアにすべき課題が山積しています。
これらの課題は モデル事業だけは解決はできません。ケアに携わる事業者が 国や自治体に対して 積極的に 利用者に資するケアのあり方や報酬体系の提案を行っていくことこそ 自らと顧客の利益につながる道筋であると考えます。

2009年7月20日月曜日

思いの強さが人を動かす

12・13日と愛媛県伊予市の双海町という人口4,800人の小さな町で 横浜から移住して地域医療に取り組んでいらっしゃる下灘診療所の諸橋正仁医師を訪ねました。
里山が海岸まで迫り わずかな平地と山頂付近まで 家々がへばりつくように点在しています。
行政の支援もほとんど期待できないような状況で「なぜ診療を続けてこられたのか」と尋ねると「理想とする在宅医療を実現するため」という答えが返ってきました。
夕食は 診療所の看護師さんだけでなく 社協のケアマネさん・ヘルパーさん そして患者さんのご家族まで加わってバーベキューのおもてなしを受けました。
感謝の念でいっぱいになったのはもちろんですが 16年間の諸橋さんの思いが地域のみなさんに確実に伝わっていることを実感しました。

2009年7月6日月曜日

技術研修から育成・教育へ

かつて「ものづくり」を中心とする日本企業が活力をもっていた大きな原動力のひとつに 企業内教育がありました。一人前の社会人になれたのは 会社のおかげだと感じている方も少なくないはずです。
学校教育の改革の必要性はもちろんですが 社会構造の変化に伴って 企業内教育の重要性も ますます大きなものになってきます。
福祉や介護の世界でも 研修のニーズは高いのですが 得てして技術研修にかたよりがちです。
サービス業中でも成長著しいコンビニ業界を見ても ローソンでは「ローソン大学」と名づけられた教育研修プログラムが セブン&アイホールディングスでは経営方針の浸透と教育を兼ねた「業革」と呼ばれる会議が20 数年続けられています。
これら企業の教育内容の特徴は
○ 育成に注力している人材は経営者候補層・ミドルマネジャーが中心
○ 階層に分けたプログラムの展開
○ 企業理念を徹底的に叩き込む(リーダーは企業理念の実践者)
○ 社長を含むトップマネジメントとの交流は必須
といった点にあります(経済同友会『第16 回企業白書~「新・日本流経営の創造」~』より)。
旧来型の会社一辺倒の人間ではなく 生活実感に裏打ちされた新しい価値観を持った組織人を トップが先頭に立って育成していく気概が求められます。

2009年7月1日水曜日

なんでもアリなら

今朝の毎日新聞に「麻生首相:東国原知事の入閣で調整 分権改革担当を検討」という見出しが躍っています。政権与党の無節操には あきれるばかりです。
トップのリーダーシップはもとより 他の議員のフォロワーシップの欠如が組織を荒廃させ 国民に不利益を強いています(フォロワーシップについては 今日更新したホームページの月刊コラム7月号「組織の活性化を阻害するもの-魅力的なリーダーは能動的なフォロワーがつくる」 http://www.well-be.net/ をご覧ください)。
あわせて 舛添要一厚生労働大臣が 党執行部に転出する とのうわさも流れています。
そこまでやるなら 厚生労働大臣のポストに 政治は素人ではあっても 国民目線で行動力のある新鮮な人材を登用してはいかがかと思います。
たとえば 高齢社会を良くする女性の会代表の樋口恵子さん いや もっと現場をよくご存知の訪問ボランティアナースの会キャンナス代表の菅原由美さんがいいのでは など妄想してしまいました。
いずれにしても われわれ自身が「よきフォロワー」とならなければ 社会保障も日本全体も活性化はしないのですから。