2010年1月26日火曜日

波乱の時代に求められる人材は

先週の土曜日 元財務官僚が講師の 医療制度に関する講演を聞きに行きました。
「医療崩壊」といわれる現状の解説とその要因分析について わかりやすく整理された内容でした。
しかし ある程度「事情通」といわれる人間にとっては 「なるほど」と思わせる内容だったとは言い難い というのが正直な感想です。
現場の医療関係者 特に経営者にとっては 今後の事業の方向性を考える「よすが」とはならなかったのではないか と思われます。
また 参加者から「医療再生のポイントとして示された『地域の再生』と『死生観』について どういう方向性が考えられるか」という 当を得た質問がなされましたが 講師からの回答は 一般論の域を超えるものではありませんでした。
この一事をもって 「すべて同様」と断言しようとは思いませんが いま本当に求められるのは 整理・分析する能力ではなく 創造・改革を実行する能力です。
いわゆる「官僚的」な人材ではなく 「民間のリーダー的」な人材です。
「民間人であればいい」のではありません。
民間の人材でも「官僚的な」人間は あふれるほど存在しています。
先の見えない時代だからこそ 真の「民」の知恵とパワーが 社会を動かす原動力になるのです。

2010年1月21日木曜日

Change できますか?

私の好きな言葉のひとつ(昨年の10周年記念のパーティーや今年の年賀状にも引用しました)に
In any moment of decision the best thing you can do is the right thing, the next best thing is the wrong thing, and the worst thing you can do is nothing.
があります。
これは 第26代アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトの言葉です。
日本人にとっては「ポーツマス条約」(日露講和条約)の斡旋役として 親日家のイメージが強くありますが アメリカ国民にとっては 米西戦争の指揮官として強く印象付けられているようです。
「流れに身を任せ何もしないより たとえ間違ったものだとしても 決断ことをするのがリーダーの責務だ」という力強いメッセージに 何度も勇気づけられました。
変えることが困難な状況であっても「決断・行動しよう」というフロンティア精神は 党派を超えて(ルーズベルトは共和党)現在のオバマ大統領まで 脈々と引き継がれています。
「難しいからやらない」「検討はするが行動はしない」では「座して死を待つ」しかありません。
介護や福祉の経営者・リーダーも 日航の現状を「他山の石」としなければ 同じ結末を迎えるしかありません。

2010年1月18日月曜日

明るい未来を創る たくさんの人たち

昨日 藤沢市で開催された「第11回湘南在宅ケアセミナー ~医療行為って何? ヘルパーにも出来る!? やりたい!? やらせたい」に行ってきました。
ラッパー(ミュージシャンではありません。褥創治療のニューウェーブです)の鳥谷部俊一先生 NST看護師の中村悦子さん ジャーナリストで国際医療福祉大学大学院教授の黒岩祐治先生 の講演は どれも新たな気づきを与えてくれました。
また 参加された方々の一途なパワーにも 力づけられました。
全国各地のキャンナスのメンバー 誕生日と重なった「ひぐらしのいえ」の安西順子さん 『ニルスの国の高齢者ケア』の藤原瑠美さん 東海大学(ほんとは吉本興業?)の谷亀光則先生 焼津の「池ちゃん家・ドリームケア」の池谷千尋さんはじめ ここに書ききれないくらいたくさんの 少年少女のように目を輝かせた人生真っ盛り世代の人たち そして瑞々しいナースケアーの職員のみなさん からも刺激をもらいました。
ありがとうございます。
みなさんの日々の活動が「幸せな社会」を創る原動力です。

2010年1月16日土曜日

「裸の(女)王様」は いませんか?

1月10日のブログで 介護や福祉事業は「女子一生の仕事」と書きましたが それを読んだある人が「女性ならだれでも介護事業に向いていると思ってもらっては困る」と感想を述べてくれました。
そう話してくれた人も女性ですが「職務内容から職員の配置・職場のインフォーマルなルールにいたるまで すべて自分の好き嫌いで決めてしまう女性経営者に振り回されて 嫌気がさした」そうです。
男女を問わず 経営者には「職員に未来の姿を提示するという最大のミッション」(1月14日のブログも読んでください)があります。
個人的な嗜好をあらわにしてマネジメントに臨むのは「経営者失格」といわざるを得ません。
私は講演で 介護事業の経営者をカリカチュアライズすると
①「夢見る夢子チャン」タイプ
②「やり手婆」タイプ
③「自称デキル経営者」タイプ
の3つに分類される とお話ししています。
このようなタイプの経営者のもとで働く職員は 好むと好まざるにかかわらず「疲弊」「萎縮」「面従腹背」の いずれかに陥ることになります。
いうまでもなく 最も不幸なのは「顧客」です。
経営者は 身のまわりに いくつもの「鏡」(職員の表情や態度も大切な鏡です)を置かなくてはならないのです。

2010年1月14日木曜日

事業者の真摯な姿勢が未来を拓く

一昨日・昨日と厚生労働省(茨城労働局)介護雇用管理改善推進事業の「キャリアパス研修会」の講師として 水戸市と日立市で講演を行ってきました。
今年一番の冷え込みにもかかわらず 両会場とも熱心な受講者が集まり 熱気が感じられる研修でした。
「経営者の最大のミッションは職員に未来の姿を提示すること」という 私の持論にそって「キャリアパスを含めた『トータルな人事管理育成制度』の構築が その大切なツールだ」というお話をさせていただきました。
お集まりいただいた 介護事業経営者・管理者のみなさまの 真摯な姿勢を目の当たりにして 未来は 決して暗くないという感慨を抱きました。
来週は 土浦・下妻で 同様の講演を行います。
また 熱意にあふれた介護事業に携わる方々とお会いできるのが楽しみです。

2010年1月10日日曜日

女子一生の仕事

明治の文豪・夏目漱石は『文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎(か)』という論文で「私は文芸を以(もっ)て男子一生の事業とするに足る」と述べています。
では現在 介護や福祉はどうなのでしょうか。
旧世代の政治家やメディア関係者の言葉の端々からは「介護や福祉は大事な仕事ではあるが 私(男)が携わるに足る事業ではない」というニュアンスが伝わってきます。
また「介護や医療の産業育成」というと「社会保障を手厚くすれば 経済成長の足枷になるだけ」「企業に活力を与える政策でなければ 経済は成長しない」という反応が返ってきます。
介護サービスの一方の担い手が営利企業であることや 社会保障の枠外にも大きな需要が存在することなど全く理解していません。
因習にとらわれた男は「百害あって一利なし」。そんな男子は もう必要ありません。
「女子」が この分野を支えていけばいいだけです。
一生を賭けた「女子」が 豊かで幸せな時代を創るパイオニアです。

2010年1月8日金曜日

「人を大事にする」政策に期待

昨日の「鳩山内閣メールマガジン」に
「昨年末 鳩山内閣として、最初の本格的な予算編成である平成22年度予算について『いのちを守る予算』と名付け 子ども手当や高校の無償化をはじめ 雇用・医療・環境など 人の命を守るための予算の確保に全力を傾けました。また、「新成長戦略」の基本方針を閣議決定し、これまでの企業側(供給サイド)に偏っていた政策の発想を 国民のみなさまの生活(需要サイド)を中心とした発想に 人間のための経済に変えていくこととしました。…その際 一番大切なことは『日本の強み』を活かすことです。…高齢化の進展をリスクではなく『健康長寿社会』をつくるチャンスと捉えること。医療・介護分野の革新(「『ライフ・イノベーション』)により 医療や介護 健康関連産業を成長産業とすることで 45兆円の新規市場と280万人の新規雇用を生み出します」
とあります。
「人を大事にする」政策の「有言実行」に期待したいと思います。

2010年1月5日火曜日

日本をアジアの「生活支援事業のハブ」に

今日の日本経済新聞の「経済教室」欄に 経済産業研究所長の藤田昌久氏が「日本 アジアの『知のハブ』に」というタイトルで 論説を執筆しています。
氏は「超高齢社会に突入しつつある日本は 医療・介護産業を伸ばすだけでなく 上勝町のような革新的なビジネスモデルを通じ 高齢者が生涯いきいきと活躍できる社会を志向することが重要なのだ」と主張しています。
上勝町(かみかつちょう)は 徳島県の中部に位置する過疎の町です。女性や高齢者でも生産でき付加価値が高い料理に添える「つまもの」が市場で優位に立てるよう ITによる情報化を進めてきました。
その結果 パソコンを使いこなせるようになった農家の高齢者が「葉っぱビジネス」で大きな成功を収め「全国ふるさとづくり賞」の市町村の部で内閣総理大臣賞も受賞しています。
高齢化率は48%で全国でもトップレベルですが 老人医療費は県内で最低です。
上勝町に限らず 全国各地に このような好事例が存在しています。
介護事業が「生活支援事業」へと進化・発展すれば「日本がアジアのハブになる」夢は 現実になるのです。