2012年1月27日金曜日

被災地特例による看護師1人の開業が実現

昨年4月22日に公布された「東日本大震災に対処するための基準該当訪問看護の人員、設備及び運営に関する基準(平成23年厚生労働省令第53号)」を活用した 看護師による一人からの開業第1号が誕生しました。
1月23日付けで 福島県福島市の「特定非営利活動法人まごころサービス福島センター」(須田弘子理事長)が 市から「特定居宅介護サービス登録通知書」を受け取りました。
これまで この特例による基準該当訪問看護事業所申請は13市町村でが行われましたが 受理されたのは福島市だけです。
この原因は
① 被災地(特定被災区域)において
②「基準該当サービス」(市町村の裁量)で
③「期間限定」(2012年2月29日までの間)
というきわめて限定的な条件が課せられたためだと考えられます。
とりわけ ②の「基準該当サービス」であることが最大のネックです。
判断を委ねられることとなった市町村は「震災対応で行政の手が回らない」こと さらには前例主義の悪しき慣習で「今までどこもやったことのないことは行わない」などといった理由によって受理がままならなかったのです。
また このケースでもサービス開始が2月1日で 特例期間は29日間しか残っていません。
ともあれ 現在約5万5千人が避難生活をしている福島市で認められた意義は小さくはありません。
一人でも多くの方がこのサービスを利用して 厳しい被災地での生活の一助になってくれることを願います。

2012年1月13日金曜日

介護報酬単価1月25日に公表

第88回社会保障審議会介護給付費分科会が 予定通り 1月25日に開催されることになりました。
同日 小宮山洋子厚生労働大臣から社会保障審議会長に対して「平成24年度介護報酬改定に係る諮問」がなされ 同分科会で介護報酬改定案が示され了承された後 即日「答申」が行われることになります。
表面的には1.2%プラス改定とされていますが 介護報酬で2.0%程度に相当する「介護職員等処遇改善交付金」が廃止されるため実質的に介護報酬は0.8%程度のマイナス改定といえます。
みなさまそれぞれ個別単価が気になると思われますが ここで発表される報酬単価の解説・分析は 2月4日(土)「2012年報酬改定でどう変わる介護事業 ‐医療介護の連携強化・地域包括ケア・処遇改善は実現するか」セミナーでどこよりも早く実施します。
報酬単価の後追いだけでは 事業の継続性(going concern)は担保できません。
2025年を見据えた事業戦略の羅針盤をお示しするつもりです。

2012年1月5日木曜日

イノベーションの実行者は「民」

3日付の日本経済新聞によると 枝野幸男経済産業大臣は同社とのインタビューで「子育て」「医療・介護」「省エネルギー」の3分野で新産業を創出するため 今月中に召集される通常国会に「課題対応型事業の促進法案を提出する」と表明しました。
また昨年11月に枝野大臣が国家戦略会議に提出した資料には「近年の日本経済は 企業の生み出す付加価値の低迷・雇用環境の悪化と労働所得の低下・将来不安の増大と勤労世帯の予備的貯蓄の増大・国内消費の低迷・デフレによる投資の低迷という いわば縮小均衡が継続する『やせ我慢』の経済であった」と分析し これを「『イノベーションと需要の好循環』により『価値創造』による拡大均衡経済への転換を図る」という方針を打ち出しています。
支援対象となる新産業には「医療機関と民間企業が連携した高齢者向けの健康維持サービス」「都市部の24時間保育サービス」「介護ロボットの開発」などが想定されています。
法律ができたからといって 一挙にこれらの産業化が進むものではないでしょう。
なにより求められるのは事業者の意思です。
イノベーションを提唱した経済学者シュンペーターは その実行者のことをアントレプレナー(entrepreneur:企業者)と呼んだのです。
活力ある社会を生み出すのはお上ではなく 私たち民間の力です。