2012年5月17日木曜日

2極化する介護事業に克つノウハウ活用法

株式会社浜銀総合研究所が厚生労働省の2011年度の老人保健健康増進等事業で実施した「民間介護事業者における異業種企業からの知識移転による経営・サービスの質の向上に向けた調査研究事業」の報告書が公表されました。 経常利益について「赤字と回答した事業者が23.8%と最も多い。その一方 経営実調(平成23年度介護事業経営実態調査結果)で示されている収支差のように5%以上の利益を出しているところも25.6%あり 回答事業者により業績が2極化している」という実感を伴った分析結果を示すなど 参考となる知見が各所に見られます。 とりわけ目を引いたのは「法人外部の経営ノウハウを活用すると法人経営にプラスの関係性が生じる」という仮説の検証です。 結果的に仮説は証明され さらには「同業他社でのマネジメント経験」や「現在の法人でのマネジメント経験」などの外部の経営ノウハウの活用法の中で 特に経常利益率が黒字になる確率が高いものが「書籍・雑誌」と「コンサルタント等の活用」がという関係が導き出されています(表参照)。
私のような立場からすれば「当然」ともいえますが そんな自明の理にも気づいていない あるいは関心がない経営者が多いのも現実で それが「業績の2極化」の要因にもなっているのではとも推測されます。 ただし いただけなかったのが「介護は『社会福祉』であると65.8%が捉えており介 護は『ビジネス』であるの31.1%を大幅に上回った」という分析です。 設問の立て方が〈貴法人の介護事業の考え方についてより強くあてはまるのは「介護は『社会福祉』である」と「介護は『ビジネス』である」のはどちらか〉の2者選択というのが無理があるのはもちろんですが 設問自体がもうナンセンスといっても言い過ぎではないでしょう。 介護は「幸せ(福祉)を創造する営み(ビジネス)」なのですから。