2012年10月31日水曜日

賃貸住宅事業は介護保険事業!?

本日付の日本経済新聞(朝刊・東京・首都圏経済面)に「東建コーポ 在宅介護大手と提携 賃貸入居者向けに事業」という見出しを見つけました。
東建コーポレーションがジャパンケアサービスグループと提携し「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)の入居者を対象にサービスを始めるというものです。
「11月1日に高齢者向け住宅開設/高松の社福法人」10/31四国新聞
「東京建物 サービス付き高齢者住宅第2弾 埼玉で86戸」10/17朝日新聞
「株式会社スミカ『高齢者住宅運営事業』をあらたにスタート」10/15産経新聞
「シルバーウッド、高齢者住宅に本格参入 サービス付きで」10/15 日本経済新聞
などなど同様の記事が目白押しです。
「サ高住」は 昨年の10月登録開始から 総登録件数2,422・総登録戸77,470(本日現在)と「今後10年間で60万戸」の計画達成は間違いないといわれるほど 急速に整備が進んでいます。
「在宅限界を高める」という地域包括ケアの理念に基づいて「施設」から「住まい」へという流れは当然ですが 施策の乗っかれば成功するという事業ではありません。
高齢者住宅の賃貸は「準市場の介護保険事業でなく自由市場の事業」だということを忘れてはなりません。
そのツケが顧客(利用者)に回って「施設より劣悪な『名ばかり住宅』に泣く泣く住まわされる」という事態が生じないことを願います。
そのためには事業者が「餅は餅屋」という自明の理を前提とした事業展開を行っていくことです。
そこで弊社では 11月10日(土)に「在宅事業者が取り組む『住まい』サービス-地域包括ケアが求める介護事業者の使命」と題したフォーラムを開催いたします。
在宅介護・医療に強い介護事業者・医療機関のみなさまの参加をお待ちしています。

2012年10月25日木曜日

急成長するリーダーがいない組織

4月に「日本でも在宅ケアのルネッサンスを」というブログを書きましたが 昨日・一昨日と オランダの"Buurtzorg"という在宅ケア組織についての講演とQ&Aセッションに参加しました。
今回来日したのは 代表で看護師のJos de Blokに加え ヘルスケアとICTの専門家Ard Leferink・家庭医のPatrick Rijkers・職業教育機関と連携した教育等の企画を担当する看護師Jennie Mastの4人(写真右から)です。
前回より深く"Buurtzorg"について学ぶことができた たいへん貴重な2日間でした。
さまざまな観点から注目すべき点は多々ありますが 組織論からいえば「組織全体が階層構造を採っていないフラットなセルフマネジメントチームであること」さらには「各チームにもリーダーはおらず 全看護師がリーダーシップを発揮することが期待されている」という点です。
堀田聰子さん(労働政策研究・研修機構 人材育成部門研究員)も 最初は理解が困難だったようです。
Josに「『中間管理職』大国の日本ではにわかには信じがたい」と質問したところ「マネジメント自体が日々進化している。メンバーを信じて任せることが大切だ」と答えてくれました。
スペシャリストとしての高度な専門性と意欲を基盤にした「新しいリーダシップ論」が生まれるかもしれないと感じたと同時に ぜひオランダへ行って現場をこの目で見てみたいという気持ちが強くなりました。

2012年10月9日火曜日

高齢者は「地方」で暮らせ!?

昨日(10/8)の日本経済新聞に「高齢者の地方移住促進 送り出す自治体が費用負担 厚労省検討」というタイトルの記事が掲載されました。
施設が足りない大都市のため 高齢者の地方移住を促す総合対策をつくり 地方には都市部の自治体が医療や生活保護の費用を負担したり 施設の整備費を出すなど財政支援の枠組みを整える。また大都市の医療インフラを地方で使えるようにする。
という内容です。
この施策に違和感を覚えるのは 私だけではないはずです。
一昔前に祖先帰りしたような感覚です。
上昌広・東京大学医科学研究所特任教授は「政府の意向で国民が移住する。まるでスターリン時代のようだ」
石川和男・社会保障経済研究所代表は「流通・物流など高齢者向けサービスを提供する体制論からするとイメージが湧かない。介護・医療の面からはどうだろうか」と tweet しています。
政府が掲げている「地域包括ケア」の推進と どう整合性をとるつもりなのでしょうか。