2009年6月29日月曜日

在宅医も変わっている

27・28の両日 パシフィコ横浜で 日本在宅医療学会学術集会が開催され 「在宅でできる!」というテーマのもと 多くの在宅医療にかかわる関係者が参加し 熱のこもった発表や討議が繰り広げられました。
土曜日の集会の後懇親会に参加したおり 医師の方々から現在の介護や在宅生活の在り方・課題について意見を求められました。正直なところ これまでは在宅医とはいっても あいも変わらず疾病のことしか見ていない医師が多く「利用者の生活継続など眼中にないのでは」とがっかりさせられることも多かったのですが 認識を新たにさせられました。
きっと みなさんの周りにも そんな視点で生活者の在宅継続に意を注いでいる医師は少なくないはずです。
「敷居の高さ」に躊躇していては 介護側の怠慢といわれてもしょうがありません。
一歩踏み出し 声を掛けてみてください。
ネットワークをつくるのは 誰かを待っているのではなくみなさんが 小さな勇気を持つことから始まります。

2009年6月24日水曜日

審議会にも政治家の出席を

先ほど 第64回社会保障審議会介護給付費分科会が終了しました。議論の中心は「経済危機対策」とりわけ「介護職員処遇改善交付金」でした。
保険者の委員である山本文男氏(福岡県添田町長)からは「この交付金が終了する2012年度以降について どう考えているのか。これが恒常化すると当然保険料にはね返ってくる。それでは住民が納得しない」という意見が述べられました。
事業者側からも12年度以降交付金として存続するのかどうかは 大きな問題です。一度上げた賃金を3年後に「はいおしまい」とはできません。とりわけ「キャリアパス」を示せという要件がある以上 単に一時金として手当てはしたくはありません。
厚労省からの回答は「2012年度の報酬改定や法改正の過程で検討する」というものでしたが これでは答えになっていません。役人としては これ以上踏み込んだ発言ができないのはわかりますが このようなやり取りは日常茶飯事です。
責任が政治にあるのなら このような審議会には 大臣とはいいませんが 副大臣や大臣政務官が出席して答弁すべきでしょう。厚労省の分割を議論する前に 肩書きだけの政治家に官僚なみに働いてもらいましょう。

2009年6月23日火曜日

市民・行政・事業者は同じ地平に立っている

20日「介護事業者は厚生労働省とどう付き合えばいいのか」セミナー終了後 厚労省の官僚3名の方々を交え懇親会を行いました。「セミナーのテーマである官僚との付き合い方の教材になってください」という私の失礼なお願いにも 快く応じていただいて恐縮しています。
「社会保障の改革の中では 年金ではなく医療・介護こそが喫緊の課題。そのために力を尽くしたい」という I課長補佐の言葉に力を得た思いです。
「国会対応」に忙殺されながらも 理想を抱いて仕事を続けている官僚と私たちは たとえ意見の相違があったとしても 議論を戦わせながら 同じ地平によって立つ「同志」として 個人と社会の幸せの実現に向けて手を携えていけると感じました。

2009年6月19日金曜日

サービスの質を明確化するのが急務

18日またまた「社会保障改革推進懇談会」の最終報告書が(ひっそりと!?)まとまりました。この懇談会は「社会保障国民会議」の提言のフォローアップを行うために設けられたものです。
社会保障国民会議は 年金・医療・介護・次世代育成など社会保障を横断的に議論し さらには財源にも踏み込んだ 画期的のある提言を行っています。同懇談会では 提言以降のロードマップが具体化されるのではないかと ひそかに期待をしていたのですが 現状追認の記述が多く 肩透かしをくらいました。
ただし 報告書中の以下の記述には共感を覚えました。
「介護労働者の処遇向上は それ自体が目的ではなく 利用者にとっての介護サービスの質の向上に結びつかねばならないことは当然である。しかし 処遇向上をサービスの質の向上にどのように結びつけていくか 必ずしも明確な道筋が明らかになっているとはいえない。ここでも客観的なデータの蓄積と課題の抽出 それに裏打ちされた政策展開が求められる。現時点で取り組むべき課題としては 少なくとも以下が考えられる。
①介護サービスにおける「質」の意義の明確化と標準化の推進
……」
職員の経験年数や介護福祉士・常勤職員割合がサービスも質を担保し それによって顧客は高い料金をはらっても当然だという根拠のない仕組みは 早急に改善すべきです。

2009年6月17日水曜日

お題目ではなく目に見える安心社会創造の論争を

15日 政府の「安心社会実現会議」(座長・成田豊電通最高顧問)は 首相官邸で第5回の会合を開き「安心と活力の日本へ」と題した最終報告書を麻生首相に提出しました。報告書は「日本型の自由市場経済モデル」の構築を前提にした「中福祉・中負担」社会の実現が色濃く打ち出されています。
「安心社会の実現」というテーマに反対する国民はいないと思われますが この種の提言や報告に食傷気味なのは 私だけではないでしょう。昨年来「安心と希望の介護ビジョン」「5つの安心プラン」「社会保障国民会議報告」など どれも時の総理や厚生労働大臣の肝いりでまとめられたものばかりですが それぞれどんな違いがあるのか理解している人はどれくらいいるのでしょうか。
私たちが求めているのは 空疎な選挙公約ではありません。「甘い幻想のバラマキ」で「安心」するほど 国民は愚かではありません。
来るべき総選挙では 賢明な選択肢を 目に見える形(ロードマップ)で示してくれる政策論争を切望しています。