2010年3月26日金曜日

国民皆保険は人権侵害!?

さきごろ オバマ米大統領が内政の最重要課題に掲げた医療保険改革法が成立しました。
日本のような公的保険制度の創設ではありませんが 国民の保険加入を事実上義務化し 米国内の無保険者数は3,200万人減少し 国民の95%が医療保険に加入するようになります。
国民皆保険の恩恵に浴している日本人にとっては 当たり前と思われる改革ですが 全米14州の司法長官が「改革法は保険加入を強制し人権侵害の恐れがある」と違憲訴訟を起こしました。
新たな負荷によって 雇用や経済成長が危険にさらされるとの 大企業を中心とした懸念に加え 増税や規制強化がアメリカの建国の精神に反する という根強い不満が底流にあります。
文化や国民性には かくも大きな隔たりがあるのかと驚くとともに それを乗り越えようとする大統領のリーダーシップに敬意を表したいと思います。

2010年3月25日木曜日

大森分科会長が政務三役の出席を要請-給付費分科会

さきほど 第65回の社会保障審議会介護給付費分科会が終了しました。
調査実施委員会における検討状況や要介護認定の見直しに係る検証・検討会についての報告が 主な内容でした。
異例だったのは 最後に 大森彌分科会長が 給付費分科会に厚生労働省の政務三役の出席を要請したことです。
現在の委員は 前政権から引き続いて審議を行っており 2009年度の介護報酬の改定を行った際には 今後の方向性を踏まえた「審議報告」も行っています。
「このままでは2012年度の報酬改定時には大幅な保険料引き上げが避けられない」「これまでどおりの方針に従って審議を継続していいのか」について 明確な指示を求めたものです。
私も 昨年6月24日のブログで「審議会にも政治家の出席を」と述べましたが「政治主導」を標榜する現政権ならなおのこと 自らの姿勢を示す必要があります。
高齢者施策以外にも 不透明感が充満している今こそ 政治の責任者が 自らの言葉で 私たち国民の将来を語ってほしいと強く願います。

2010年3月16日火曜日

音楽体験も「三つ子の魂」


先週末久しぶりに さいたまスーパーアリーナでロックコンサートを堪能しました。
出演したのは 9年ぶりの日本公演となるAC/DCです。1970年代の初期から休まず活動を続けているライブバンドで 熱狂的ファンが多いことでも知られています。
メンバーも 50代半ばから60代と高齢化していますが パワーは衰えることを知りません。
昨年観た映画『シャイン・ア・ライト』のザ・ローリング・ストーンズもそうでしたが 若いころに影響を受けた音楽は 歳をとっても同じ感激を与えてくれるものです。
やっぱり団塊の世代以降の人間は 民謡や演歌より「ポップスの歌えるデイサービスに行きたい」だろうと思います。

2010年2月18日木曜日

介護職に技能検定

咋日の日本経済新聞の1面に「介護や観光 働く技能にお墨付き 11年度にも検定制度」という見出しが躍りました。
「働き手の実務能力を業種ごとに客観評価する新たな検定制度が2011年度にも創設される見通しだ。『介護』や『観光』など雇用拡大が見込める分野で 業界ごとに実務経験などを加味した能力水準を定め 再就職や転職に生かせる仕組みをつくる。…厚生労働省は制度導入を後押しし 雇用市場の活性化につなげる。日本の労働市場では 弁護士や医師など業務を担うのに必要な資格はあるが 労働者が持つ実務面での技能などを評価する取り組みは進んでいない。例えば介護分野では介護福祉士などの資格があるが 実務の未経験者も介護現場で経験を積んだ人も資格は同一だ。技能評価の新制度は 特定の業界内で共通して必要とされる知識や技能について統一的な基準を設けるもの。検定での評価は転職などの際の『お墨付き』と位置付けられる…」
というものです。
もっともな内容ですが キャリアパスもこれからという介護業界では まず介護職の評価基準やキャリアアップのステップ(キャリアラダー)を 個々の事業者レベルではなく 業界レベルで議論構築するのが先決だと思われます。
まず 医療からはじめてもらうのが 顧客の立場からも望ましいですね。

2010年2月10日水曜日

制度を超える事業展開が介護事業者自立の条件

本日の日本経済新聞によると ニチイ学館の2010年3月期(通期)連結業績予想数値の修正が発表され「損益は上方修正 売上は下方修正」されたということです。
プラス要因は「ヘルパー養成事業の好調さ」「居宅介護支援・訪問介護・通所介護の収益性の改善」
マイナス要因は「訪問介護の利用者の伸び悩み」
だということです。
「プラス報酬改定」と「景気後退」が利益を押し上げ かつ売上をダウンさせた といってもいいでしょう。
「準市場」の宿命といってしまえば 身も蓋もありません。
業界のリーディングカンパニーにしてこの状況です。あとは「推して知るべし…」なのでしょうか。
産業化に向けた ひとつの課題がここにもあります。

2010年2月8日月曜日

金曜の夜に議論して…

ウィンストン・チャーチルの「実際のところ 民主主義は最悪の政治形態と言うことができる。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば だが…」は あまりにも有名です。
たしかに 民主主義のプロセスは「隔靴掻痒」といえます。
論点をはずれた発言や議論の蒸し返しに 辟易することもままあるものです。
しかし議論を重ねていけば「話せばわかる」ことや「なんだ 同じことを考えていたのか」という思いにいたることも少なくありません。
地位や立場が発言を拘束するなら その枠を取り払ってみる機会を設ける努力をしてみることも無駄ではないはずです。
「声の大きい人」が支配するのではなく 時間はかかっても「手段が目的化」しない ホットでかつクールな論議が継続的にできれば「モアベター」(「小森のおばちゃま」語ですが通じるかな?)な世の中になるのでは と感じました。

2010年2月4日木曜日

アーティストの心意気

一昨日(2月2日)岡山市内で 「特定非営利活動法人AMDA」理事長で医師の菅波茂氏と お目にかかる機会を得ました。
AMDA(本部:岡山市)は 災害や紛争発生時に多国籍医師団を結成し 医療・保健衛生分野を中心とした緊急人道支援活動を展開するNGOです。
ハイチ地震に対しても いちはやく緊急医療支援チームを派遣したことは 報道を通じてご存知の方も多いでしょう。
菅波理事長のお話は どれも楽しくしかも示唆に富むもので たいへん有意義な時間を過ごすことができました。
その中で菅波理事長は 「人道支援活動ボランティアはアートだ」 とおっしゃいました。
被災地に入るまでの手配はなんとかできるが その後のことはすべて白紙。
活動をどのように展開するかは 個人個人が 現地の状況やニーズを見極め あたかもキャンバスに絵を描くように創造していくものだ。
という意味です。
このお話が私の心に響いたのは 事業や介護・福祉の日々の活動も同じことだと感じられたからです。
“art” の語源は ラテン語の 「技術」 を意味する “ars” にあります。
経営者も現場の職員も アーティストの心意気を忘れずにいたいものです。