沖縄防衛局長が米軍普天間基地の移設問題に絡んだ不適切な発言によって更迭されたことが大きな波紋を呼んでいます。
非公式な場といえ 責任を負った者が口にしていいはずの表現ではありません。根底にある価値観や倫理観を疑わざるを得ません。
しかし公式な会合の場でも 思わず耳を疑う発言に遭遇することも少なくありません。
10月17日に開催された第82回社会保障審議会介護給付費分科会で 看護職員による居宅療養管理指導が「現状では非常に算定要件が厳しいので要件を見直す」よう看護団体の委員が発言しました。
これに対して医療団体の委員が「これ以上に(看護職員の居宅療養管理指導算定要件を)緩和をするというのはどういうことかわからない。医師の指示にも関係がなく看護職が勝手に行くことにしてもらいたいのか」と切り返しました。
さらに 次の第83回介護給付費分科会でも 通所介護の機能訓練指導員の多くが看護職員であることにに関連して 別の医療団体の委員が「(通所の機能訓練では)医師の指示なしに看護師が野放図にリハを行っている」と発言しました。
これらは看護職員や看護の意義やプライドを踏みにじるものだと糾弾されてもしかたがないと思われますが どこからもそのような声は上がっていません。
看護団体自身が 発言内容を肯定しているのか 反論ができない構造になっているのか あるいは感覚がマヒしているのか のいずれかになります。
ここから改善していかなければ 看護の専門性や地位 ひいては医療と看護そして介護の連携・連帯などは夢物語でしかないでしょ。
2011年11月30日水曜日
2011年11月18日金曜日
国民からかけ離れた官のあきれた指導
鳴り物入りでスタートした「サービス付き高齢者向け住宅」の登録が始まって1月を過ぎました。
国土交通省と厚生労働省が縦割りを越えて共同で所管し 地域包括ケアシステムの基礎となる「住まい」を充実させるという期待を担っているはずですが 事業者には青天の霹靂ともいうべき事態が広がりつつあります。
共有面積について なんとも不可思議な基準が多くの自治体で設定されているのです。
「国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則」(平成23年8月12日厚生労働省令・国土交通省令第2号)では 第8条(規模の基準)において「法第7条第1項第1号の国土交通省令・厚生労働省令で定める規模は、各居住部分が床面積25㎡(居間、食堂、台所その他の居住の用に供する部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合にあっては、18㎡)とする」とされています。
台所や風呂を共有設備として確保すれば 居室面積は18㎡でOKという要介護者を対象とした場合には合理的な基準が示されています。
ところが多数の自治体が 25㎡に満たない居室面積とした場合 25㎡から減らした面積に居室数を乗じた面積を共有面積として確保せよ という基準を設けているのです。
たとえば 18㎡の部屋を30室作った場合には(25-18)×30=210㎡もの共有部分が必要になるわけです。
理不尽極まりないというしかありません。
この原因は 10月7日に発出された「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律の施行について」という通知に「サービス付き高齢者向け住宅の各居住部分の床面積の基準を25㎡以下に緩和する場合には、食堂、台所等の共同利用部分の面積の合計が、各専用部分の床面積と25 ㎡の差の合計を上回ることを基本的な考え方とすることが考えられる」という文言があるためです。
国に言わせれば「判断は自治体に委ねている」ということですが 自治体は「国の判断に従っただけ」と主張しています。
責任の擦り付け合いをするのではなく なぜ利用者=国民本位に考えられないのかと 憤りを感じざるを得ません。
国土交通省と厚生労働省が縦割りを越えて共同で所管し 地域包括ケアシステムの基礎となる「住まい」を充実させるという期待を担っているはずですが 事業者には青天の霹靂ともいうべき事態が広がりつつあります。
共有面積について なんとも不可思議な基準が多くの自治体で設定されているのです。
「国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則」(平成23年8月12日厚生労働省令・国土交通省令第2号)では 第8条(規模の基準)において「法第7条第1項第1号の国土交通省令・厚生労働省令で定める規模は、各居住部分が床面積25㎡(居間、食堂、台所その他の居住の用に供する部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合にあっては、18㎡)とする」とされています。
台所や風呂を共有設備として確保すれば 居室面積は18㎡でOKという要介護者を対象とした場合には合理的な基準が示されています。
ところが多数の自治体が 25㎡に満たない居室面積とした場合 25㎡から減らした面積に居室数を乗じた面積を共有面積として確保せよ という基準を設けているのです。
たとえば 18㎡の部屋を30室作った場合には(25-18)×30=210㎡もの共有部分が必要になるわけです。
理不尽極まりないというしかありません。
この原因は 10月7日に発出された「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律の施行について」という通知に「サービス付き高齢者向け住宅の各居住部分の床面積の基準を25㎡以下に緩和する場合には、食堂、台所等の共同利用部分の面積の合計が、各専用部分の床面積と25 ㎡の差の合計を上回ることを基本的な考え方とすることが考えられる」という文言があるためです。
国に言わせれば「判断は自治体に委ねている」ということですが 自治体は「国の判断に従っただけ」と主張しています。
責任の擦り付け合いをするのではなく なぜ利用者=国民本位に考えられないのかと 憤りを感じざるを得ません。
2011年11月11日金曜日
制度や組織の壁を乗り越える力
昨日 仙台市の「仙台フィンランド健康福祉センター」で「2025年の介護はこうなる!?地域包括ケアがめざすもの」というタイトルで講演を行いました。
同センターは 財団法人仙台市産業振興事業団の運営する研究開発館と社会福祉法人東北福祉会が運営する特別養護老人ホームせんだんの館がコラボレートしたユニークなプロジェクトです。
同一敷地に 国でいえば経済産業省管轄の組織と厚生労働省管轄の組織が仲良く協働して研究開発や事業を行っています。
閉塞感が充満している日本ですが このような試みこそが 高齢社会のトップランナーというポジションを奇貨として 夢のある世界の範となる社会を創造する原動力だと感じました。
講演参加者も 医師や介護事業者だけでなく 生活支援サービスや商品を提供しているベンチャースピリットあふれる方々が多く 楽しいひと時でした。
このような人たちの 介護保険や制度ビジネスという枠を超えた発想やアニマル‐スピリットが 本当の意味での「地域包括」を支えていくのだと実感させてもらいました。
同センターは 財団法人仙台市産業振興事業団の運営する研究開発館と社会福祉法人東北福祉会が運営する特別養護老人ホームせんだんの館がコラボレートしたユニークなプロジェクトです。
同一敷地に 国でいえば経済産業省管轄の組織と厚生労働省管轄の組織が仲良く協働して研究開発や事業を行っています。
閉塞感が充満している日本ですが このような試みこそが 高齢社会のトップランナーというポジションを奇貨として 夢のある世界の範となる社会を創造する原動力だと感じました。
講演参加者も 医師や介護事業者だけでなく 生活支援サービスや商品を提供しているベンチャースピリットあふれる方々が多く 楽しいひと時でした。
このような人たちの 介護保険や制度ビジネスという枠を超えた発想やアニマル‐スピリットが 本当の意味での「地域包括」を支えていくのだと実感させてもらいました。
2011年10月21日金曜日
失言よりも罪深い発言
昨日の「天使人語」は井上靖『氷壁』から 山で落命した主人公に目をかけていた上司が悼辞で「ばかめが!」と締めくくるくだりを引用しました。
言うまでもなく平野達男復興大臣の「失言」について「言葉をめぐる空気がどうも息苦しい」という感想を述べたものです。私も同感です。
一方 本日の閣議後の記者会見で小宮山洋子厚生労働大臣は 民主党の介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる方針について「現在も堅持されており 目標として否定されたものではない」との認識を示したそうです。
また「介護職員処遇改善交付金の形で続けるのか 介護報酬の中に組み込むのかどちらにするかは決めていない」と述べたとも伝えられています。
13日の介護保険部会・17日の給付費分科会を見る限り とてもそのような雰囲気ではありません。
もしこの発言を額面通り受け取れば 民主党は「普天間問題」と同じ未熟さをいまだに抱えていると思わざるを得ません。
「政治主導」に期待するのは八方美人ではありません。
どんなに厳しい判断でも 合理的で透明なプロセスを経ていれば 従うのが民主主義です。
こんな当たり前なことを疑うのであれば 事業者ばかりか何より国民を愚弄しているとしか言いようがありません。
言うまでもなく平野達男復興大臣の「失言」について「言葉をめぐる空気がどうも息苦しい」という感想を述べたものです。私も同感です。
一方 本日の閣議後の記者会見で小宮山洋子厚生労働大臣は 民主党の介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる方針について「現在も堅持されており 目標として否定されたものではない」との認識を示したそうです。
また「介護職員処遇改善交付金の形で続けるのか 介護報酬の中に組み込むのかどちらにするかは決めていない」と述べたとも伝えられています。
13日の介護保険部会・17日の給付費分科会を見る限り とてもそのような雰囲気ではありません。
もしこの発言を額面通り受け取れば 民主党は「普天間問題」と同じ未熟さをいまだに抱えていると思わざるを得ません。
「政治主導」に期待するのは八方美人ではありません。
どんなに厳しい判断でも 合理的で透明なプロセスを経ていれば 従うのが民主主義です。
こんな当たり前なことを疑うのであれば 事業者ばかりか何より国民を愚弄しているとしか言いようがありません。
2011年9月22日木曜日
複合型サービス創設の目的は訪看STの規模拡大!?
本日 第80回社会保障審議会介護給付費分科会が開催されました。
議題は 注目の「定期巡回・随時対応サービス」と「複合型サービス」の基準・報酬です。
たたき台(論点)を示してのフリーディスカッションですから 報酬に踏み込む前の人員基準が中心でした。
「定期巡回・随時対応サービス」については 現行の夜間対応型訪問介護を踏襲する案が示されました。介護職員が24時間1以上の配置ということであれば4.2人が最低基準ということになります。
看護職員については「サービス提供に必要な以上」というのが事務局案です。当然のように訪問看護協会からは 医療保険に対応するためにも2.5人以上という意見が述べられました。
「複合型サービス」については 看護師は2.5人以上で「利用対象者は小規模多機能型居宅介護の登録者に限る」ということがはじめて示されました。
これには釈然としない委員も多く「これほど手厚い体制にする意味があるのか」という声も上がりました。
この通り推移すれば あらたに看護職員を雇用数する形ではなく 訪問看護事業所と併設型の小規模多機能型居宅介護でなければ利用者・事業者ともメリットが感じられません。
期待される効果は「訪問看護ステーションの規模拡大および経営の安定」しか考えられません。
議題は 注目の「定期巡回・随時対応サービス」と「複合型サービス」の基準・報酬です。
たたき台(論点)を示してのフリーディスカッションですから 報酬に踏み込む前の人員基準が中心でした。
「定期巡回・随時対応サービス」については 現行の夜間対応型訪問介護を踏襲する案が示されました。介護職員が24時間1以上の配置ということであれば4.2人が最低基準ということになります。
看護職員については「サービス提供に必要な以上」というのが事務局案です。当然のように訪問看護協会からは 医療保険に対応するためにも2.5人以上という意見が述べられました。
「複合型サービス」については 看護師は2.5人以上で「利用対象者は小規模多機能型居宅介護の登録者に限る」ということがはじめて示されました。
これには釈然としない委員も多く「これほど手厚い体制にする意味があるのか」という声も上がりました。
この通り推移すれば あらたに看護職員を雇用数する形ではなく 訪問看護事業所と併設型の小規模多機能型居宅介護でなければ利用者・事業者ともメリットが感じられません。
期待される効果は「訪問看護ステーションの規模拡大および経営の安定」しか考えられません。
2011年9月16日金曜日
医療介護・保育は「町内会の屋台」?
昨日 日本総研と一橋大学が共催した「税・社会保障シンポジウム」に参加しました。
今般の改革について 多彩な講師から有益なレクチャーを受けました。
評価については 現在の政治状況では一定の成果を認めるというものから やらないよりはましな程度まで幅があります。
しかし この改革で今後の社会保障が安泰となるわけではないという認識は深くなりました。
多くのサゼッションの中で興味深かったもののひとつに 鈴木亘学習院大学教授の「社会保険は『町内会の夏祭りの屋台』状態。目に見える価格は安いがその裏には多額の公費負担が存在している。そのため超過需要が生じ 高コスト体質・サービスの質の低下を生む」という意見がありました。
そのため社会保険への消費税投入は避けるべきで 保険料や自己負担のアップで賄うべきだというものでした。
特に競争原理の全く働かない保育分野では 氏の懸念が現実のものとなっているといわれても反論できないのが現状でしょう。
とはいえ専門家の見解がこれほど分かれている状況で 国民=生活者が完全に合理的な行動・選択をすることは困難です。
そこに必要なのは 専門家の知見のうえに国のあり方をビジョンとして示すことでしょう。
分析だけでなく そこから「意思」を導き出すことができなければ政治の意味はありません。
今般の改革について 多彩な講師から有益なレクチャーを受けました。
評価については 現在の政治状況では一定の成果を認めるというものから やらないよりはましな程度まで幅があります。
しかし この改革で今後の社会保障が安泰となるわけではないという認識は深くなりました。
多くのサゼッションの中で興味深かったもののひとつに 鈴木亘学習院大学教授の「社会保険は『町内会の夏祭りの屋台』状態。目に見える価格は安いがその裏には多額の公費負担が存在している。そのため超過需要が生じ 高コスト体質・サービスの質の低下を生む」という意見がありました。
そのため社会保険への消費税投入は避けるべきで 保険料や自己負担のアップで賄うべきだというものでした。
特に競争原理の全く働かない保育分野では 氏の懸念が現実のものとなっているといわれても反論できないのが現状でしょう。
とはいえ専門家の見解がこれほど分かれている状況で 国民=生活者が完全に合理的な行動・選択をすることは困難です。
そこに必要なのは 専門家の知見のうえに国のあり方をビジョンとして示すことでしょう。
分析だけでなく そこから「意思」を導き出すことができなければ政治の意味はありません。
2011年8月29日月曜日
研修・セミナーに参加して何が得られるのか
27・28日と長野県小諸市・佐久市で開催された地域ケア研修会に講師として参加しました。
高峰高原の清澄な空気のなか これからの地域包括ケアや住まい・お泊りデイのありかたについて 多くの示唆が得られた貴重な2日間でした。
今回に限らずシンポジウムや討論の場で感じるのは せっかく素晴らしい論点が示されたにもかかわらず なかなか議論が深まらないもどかしさです。
日本人は欧米人のようにディベート教育を受ける機会がなく議論下手で 反論や疑義の提示にためらいを感じがちになるというのもその理由のひとつですが それだけではないでしょう。
テーマが明確な議論においてシンポジストが示すべきもの 参加者がそこから受け取るべきものは「結論」ではないはずです。
「なにを」根拠に(めざして)そう考えるのか
「なぜ」他と異なった意見を持っているのか
を明確にすることが大切なのです。
私たちが事業経営の中で求めなくてはならないのは インフォメーション(information)ではなくインテリジェンス(intelligence)です。
日本語では両方とも「情報」という訳語となってしまいますが 後者は前者を価値判断(何をめざしているのか)に基づいて処理し使用するものです。
安直に「How to」を求めてセミナーや研修会に参加しても得られるものはごくわずかです。経営者や専門家には「What to」と「WHY」を常に問いかけていく姿勢が欠かせません。
高峰高原の清澄な空気のなか これからの地域包括ケアや住まい・お泊りデイのありかたについて 多くの示唆が得られた貴重な2日間でした。
今回に限らずシンポジウムや討論の場で感じるのは せっかく素晴らしい論点が示されたにもかかわらず なかなか議論が深まらないもどかしさです。
日本人は欧米人のようにディベート教育を受ける機会がなく議論下手で 反論や疑義の提示にためらいを感じがちになるというのもその理由のひとつですが それだけではないでしょう。
テーマが明確な議論においてシンポジストが示すべきもの 参加者がそこから受け取るべきものは「結論」ではないはずです。
「なにを」根拠に(めざして)そう考えるのか
「なぜ」他と異なった意見を持っているのか
を明確にすることが大切なのです。
私たちが事業経営の中で求めなくてはならないのは インフォメーション(information)ではなくインテリジェンス(intelligence)です。
日本語では両方とも「情報」という訳語となってしまいますが 後者は前者を価値判断(何をめざしているのか)に基づいて処理し使用するものです。
安直に「How to」を求めてセミナーや研修会に参加しても得られるものはごくわずかです。経営者や専門家には「What to」と「WHY」を常に問いかけていく姿勢が欠かせません。
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