2012年4月19日木曜日

ケアマネだけの問題じゃありません

昨日 4/27に開催するフォーラム「どうなるケアマネジメント・どうするケアマネジャー~2012年介護報酬改定のあとにくるもの」のシンポジストの4人(阿部崇菅原由美高岡里佳長谷川佳和)の方々と打ち合わせを行いました。
そのままシンポジウムとして みなさんに聞いていただきたいと思う話ばかりで大いに盛り上がりました。
ケアマネジメントの将来は ケアマネジャーだけでなく介護・医療事業を提供する者すべてに そして何より利用者やその家族にとって計り知れないほど大きな意味を持っています。
ここをしっかり考え 発言・行動していかなければ 豊かな高齢社会など夢物語です。
今日 シンポジストのお一人から「当日は ライブ感たっぷりのシンポジウムになりそうですね。ケアマネジャーの新たな未来に向けて 自分なりの発信ができるといいなと思いました」というメールをいただきました。
ご期待ください。

2012年4月16日月曜日

地域医療・在宅ケアを困難にしているもの

昨日「医(いや)す者として」という映画の試写会&トークイベントに行ってきました。
「若月賞」で有名な若月俊一氏と佐久総合病院のドキュメンタリーです。
映画の前半は 若き若月医師が赴任した時代と当時を知る人々の映像が中心で 貴重なアーカイブです。
ところが後半に入ると一転 歯切れが悪くなります。
現在の佐久総合病院そして地域医療(農村医療は死語?)・在宅医療の課題が語られますが 解決の方向性はもちろん その背景さえ一般の観客に伝えられることはありません。
それほど重い困難を背負っているのは若月医師の遺産を活かしきれない病院だけのなのでしょうか それともこの時代に生きる私たち全員なのでしょうか。
トークイベントは 作家の大野更紗・一橋大学大学院社会学研究科准教授の猪飼周平・佐久総合病院にも勤務する藤井博之の各氏です。
学生の参加者の「『地域の民主化なくして医療の民主化はない』という若月氏の言葉の意味が分からない」という発言に マルキシズムや運動・闘争といった言葉や実態が「歴史」になりつつあることを実感させられました。

2012年4月12日木曜日

日本でも在宅ケアのルネッサンスを

昨日「在宅ケアのルネッサンス」という講演会に参加しました。
在宅ケアの新たな提供モデルとして注目されているオランダの"Buurtzorg"という事業者の代表のJos.de.Blokが講師です。
Buurtzorgは看護師・介護士が最大12人で独立チームを形成し あらゆるタイプの利用者にトータルなケアを提供しています。
利用者満足度はオランダでNo.1。加えて従業員満足も非常に高く 昨年 全産業を対象とした最優秀雇用者賞を受賞しています。
効率性にも優れ コストは他の事業者の半分。2007年4人で創業。現在は約450のチーム・5,000人のナースと介護士を擁し 売上高は1億8,000万ユーロ。
オランダでもっとも急成長する組織として注目されています。
刺激的な話に触発されることが多々ありました。
もっとも印象に残ったのは 彼らが制度の後追いで活動を開始したのではないということです。
クライアントの利益にフォーカスし そこから最大のアウトカムを導き出すことに専念した結果が今の姿であり 国や世界中から注目されることになったのです。
「わが国とは違う」「日本ではできない」という言葉が言い訳にしか聞こえてきません。
在宅ケアに誠心誠意打ち込んでいる多くのナースたちには 大きな励ましになったと思います。

2012年4月9日月曜日

「3.11」を風化させない会を開催

昨日「グループホーム来夢
さんの10周年記念パーティーに出席しました。
会場は隅田川の屋形船です。
絶好の花見日和で桜とスカイツリーのマッチングも最高でした。
思えば 昨年の今頃は「花見の自粛」が話題になっていました。
そんな話題が過去のものになるのは結構ですが 震災と復興への関心が低下することが懸念されます。
そんな中「キャンナスを応援する春の会」が4月16日(月)19:00から原宿の東郷記念館で開催されます。
この会は 震災直後から今日まで延べ8,000人のナースを中心としたボランティアを続けている「全国訪問ボランティアナースの会キャンナス」の活動をまとめた『ドキュメント-ボランティアナースが綴る東日本大震災』(三省堂)の出版を記念するとともに 同会と被災地で活躍した看護師たちが貴重な体験を語り合い・学び合う「同窓会」を開催するための応援をするのが目的です。
「3.11」を風化させないためにも 一人でも多くの方々が参加されることを祈っています。

2012年3月23日金曜日

福祉・介護を支えるソーシャルワーカーにエール

昨日 東京都社会福祉協議会の生活相談員研修委員会(委員長:水野敬生江戸川光照苑長)全体会で 法改正・報酬改定と地域包括ケアをテーマに講演を行いました。
2年前にも同会で講演の機会がありましたが 昨日も同じように多くの生活相談員のみなさんが熱心に話を聞いてくれました。
今回は自分が話すだけでなく 最後まで会に参加して 東京家政学院大学人文学部人間福祉学科西口守教授の講演や委員会の今年度の研修成果も聞かせていただきました。
西口教授の「生活問題へのソーシャルワークの視座~地域包括ケアに相談員はどう向き合うのか」という講演は「地域包括ケア研究会報告書」をソーシャルワークの視点から批判的に論評したもので 久しく寡聞にして知ることのなかった「社会福祉」のプロフェッションから明確なメッセージを受け取ったという感慨を覚えました。
また なにより相談員のみなさんの真摯な取り組みとチームスピリットの豊かさを目の当たりにして大いにインスパイアされました。
「福祉・介護の先行きは決して捨てたもんじゃない」と明るい気持ちになりました。

2012年3月12日月曜日

ことばは少し乱暴なほうがいい

昨日・一昨日と上田市で開催された一般社団法人地域ケア研究所(竹重俊文所長)主催のシンポジウムに 講師・コーディネーターとして参加しました。
テーマは「地域で支える―報酬改正への対応」と「介護人材を育てる」で それぞれたいへん意義のある議論が交わされました。
埼玉県認知症高齢者グループホーム・小規模多機能協議会の西村美智代会長や長野県の行政担当者の方々はじめ多士済々のシンポジストとの出会いは貴重なものでした。
さらにうれしかったのは 諏訪市や長野市・高崎市から参加した若い介護職のみなさんと話ができたことです。
経済学者のケインズは
"Words ought to be a little wild, for they are the assaults of thoughts on the unthinking."「ことばは少し乱暴なほうがいい。なぜなら それは思考しない者を思考で襲うことになるから」
ということばを残しています。
私は「辛辣なことをいう講師だ」と思われているようですが ケインズ同様というとおこがましいのですが 少なくとも同じような覚悟で話をしているつもりです。
彼らが「思考し行動する介護職」として活躍してくれることを願っています。

2012年3月5日月曜日

報酬単価の意味の理解が明暗の分かれ道

昨日 日本介護経営学会の総会が行われあわせて記念シンポジウムが開催されました。
テーマは当然「介護報酬」ということになります。
田中滋日本介護経営学会・宮島俊彦厚生労働省老健局長に加え 木村隆次日本介護支援専門員協会会長・武久洋三日本慢性期医療協会会長・馬袋秀男民間介護事業推進委員会代表がシンポジストとしてディスカッションを行いました。
「ケアマネジャーの役割は残るのか」といった 専門職団体のトップにとってはいささか刺激的な議論も行われました。
私がもっとも印象に残ったのは「名称ではなく機能に応じた報酬設定」という論点です。
老健施設に対する在宅復帰支援機能の高い評価はもちろん 特養の新設多床室の報酬単価が引き下げられたこともその一環です。
であれば 訪問介護の生活援助の時間区分や通所介護の時間区分が変更されたのも同じ視点でとらえるべきだということです。
「基本サービス費が切り下げられた」という表面的な理解だけでは 次期以降の報酬改定の方向性や自社のとるべき戦略が見えなくなってしまう危険性があります。