2012年8月31日金曜日

地域医療・在宅ケアを考える上映会&シンポジウム

26日の日曜日に佐久市で4月16日にこのブログでとりあげたドキュメンタリー「医(いや)す者として」の上映会&シンポジウムを行い 50名以上の参加を得て盛況のうちに終了しました。
映画の前半では 当時の常識からいえば破天荒といっても過言ではない「寒村地域への訪問巡回診療」「公開手術とその実況」「偏見と差別の対象だった脊椎カリエスの患者会の結成」などなど 若月俊一医師の「地域の民主化なくして医療の民主化はない」という信念と行動に感動を覚えます。
また映画の後半では 高度医療と地域医療の「二足のわらじ」の両立に苦悩する佐久総合病院や「農村医療こそ最先端の医療だ」という若月氏の衣鉢を継いだ医師の言葉に若月イズムの行く末を案じたり安堵したりします。
そしてシンポジウムでは 映画に出演した佐久総合病院の北澤彰浩医師の率直でかつ前向きな発言や地域医療・在宅ケアの最前線で活躍する古屋聡医師・菅原由美看護師の生々しい言葉が交わされ 当事者としての私たちの課題が見えてきました。
同様の上映会&シンポジウムを東京でも開催します(詳細はここから)。
 日時:9/2(日)13:30~
 会場TKPスター貸会議室 日本橋
 参加費:3,000円
ぜひ多くの方々にご参加いただき 一緒に考えていくことができれば幸いです。

2012年6月11日月曜日

いまある支え合い活かすコミュニティを

一昨日 キャンナス沼津(小風彩子代表)の主催で「地域包括ケアと訪問看護ステーションの重要性」というテーマのお話を三島市でしてきました。
こじんまりとした集まりでしたが 医療や介護の専門職だけでなく 一般の市民の方も参加してじっくり意見交換ができた有意義な会でした。
70代の男性は「日常的に不自由することはないが 体調を崩したときが問題。身近に看護師さんがいて実際的な手助けやアドバイスをしてくれることによって一人暮らしが続けられている」と実感のこもった体験談を披露してくれました。
自助・互助・共助・公助を統合し生活を支えていく「地域包括ケア」という仕組みを現実に動かしていくには 制度を横断し隙間を埋めていく存在が不可欠です。
新サービスを普及させるだけでなく いま現に機能している支え合いを専門職と市民が協働で担っていけるようなコミュニティづくりが大切だと改めて感じさせられました。

2012年6月7日木曜日

介護サービスの「顧客」満足を考える

昨日「地域包括ケア研究会」の座長を務めた田中滋慶應義塾大学教授の「地域包括ケアシステムの背景と将来展望」という講演を聞きました。
地域包括ケアシステムについて大きな示唆が得られたのはもちろんですが「顧客はだれか」という投げかけに納得がいきました。
社会保障制度のもとで「介護」を提供するのであれば 介護保険にまつわるステークホルダーの中でも「負担だけして給付を受けない大多数の理解が得られなければ 制度ビジネスは存続しえないというものです。
制度運営にあたる自治体だけでなくサービス提供事業者にとっても忘れてはいけない大切なポイントです。
であれば2025年に向けて 介護総費用は増えてはいきますが 今の倍以上必要な介護職員の1人あたりの平均給与が上昇するとは考えられず 高齢者人口は増えますが総人口は減っていく中で 負担だけが増していくという事態も想定されます。
このように 提供する側もされる側も閉塞感から抜け出せないという最悪のシナリオから抜け出すには介護サービスの生産性を向上させ「顧客」満足をアップさせていくことが欠かせないといえます。
それが可能になれば 田中教授も認めるように わが国の介護サービス(システム)が外貨を稼ぎ成長産業として国と自らの果実を富ませていくというシナリオが実現できるでしょう。

2012年5月17日木曜日

2極化する介護事業に克つノウハウ活用法

株式会社浜銀総合研究所が厚生労働省の2011年度の老人保健健康増進等事業で実施した「民間介護事業者における異業種企業からの知識移転による経営・サービスの質の向上に向けた調査研究事業」の報告書が公表されました。 経常利益について「赤字と回答した事業者が23.8%と最も多い。その一方 経営実調(平成23年度介護事業経営実態調査結果)で示されている収支差のように5%以上の利益を出しているところも25.6%あり 回答事業者により業績が2極化している」という実感を伴った分析結果を示すなど 参考となる知見が各所に見られます。 とりわけ目を引いたのは「法人外部の経営ノウハウを活用すると法人経営にプラスの関係性が生じる」という仮説の検証です。 結果的に仮説は証明され さらには「同業他社でのマネジメント経験」や「現在の法人でのマネジメント経験」などの外部の経営ノウハウの活用法の中で 特に経常利益率が黒字になる確率が高いものが「書籍・雑誌」と「コンサルタント等の活用」がという関係が導き出されています(表参照)。
私のような立場からすれば「当然」ともいえますが そんな自明の理にも気づいていない あるいは関心がない経営者が多いのも現実で それが「業績の2極化」の要因にもなっているのではとも推測されます。 ただし いただけなかったのが「介護は『社会福祉』であると65.8%が捉えており介 護は『ビジネス』であるの31.1%を大幅に上回った」という分析です。 設問の立て方が〈貴法人の介護事業の考え方についてより強くあてはまるのは「介護は『社会福祉』である」と「介護は『ビジネス』である」のはどちらか〉の2者選択というのが無理があるのはもちろんですが 設問自体がもうナンセンスといっても言い過ぎではないでしょう。 介護は「幸せ(福祉)を創造する営み(ビジネス)」なのですから。

2012年4月26日木曜日

住民が主役の地域包括ケア

一昨日・昨日と長野県の佐久市周辺に行き 満開の桜のもと 命の洗濯をさせてもらいました。写真はかの「ぴんころ地蔵」で有名な佐久市野沢の成田山の参道です。
用向きは 御代田町の社会福祉協議会で講演することと 一般社団法人地域ケア総合研究所(竹重俊文所長)の「笑福庵」(しょうふくあん)におじゃますることでした。 この庵は 古民家を活用したもので 近隣のみなさんとお茶を飲みながら「困りごと」や「老後の支え合い」などを気軽に話し合うたまり場(地域住民支え合いサロン)であったり 介護人材や経営者・地域文化の継承者を育成・確保するための泊まり込みのできる研修所(地域人材育成のための寺子屋)であったり…という多機能な地域サロンです。 住民が主役となる「ほんとうの地域包括ケア」のひとつとして大いに注目です。

2012年4月23日月曜日

ネットワークではなく縁(えにし)を

週末の土曜日 ジャーナリストで国際医療福祉大学大学院教授の大熊由紀子さんの主催する「『えにし』を結ぶ会」に参加しました。
元衆議院議員でかつ元受刑者の山本譲司さんの「刑務所が障害者や高齢者の福祉の代替施設になっている」という話や社会保障・税一体改革担当大臣を務めた与謝野馨衆議院議員の「増税反対論者の3つの嘘」など たくさんの興味深い話題に接することがでしました。 なにより「えにしを結ぶ」というタイトルそのままに 柴田範子さん秋山正子さんなど 活動には共感してはいても これまで面識がなかった方々と直接お話しする機会が持てたことが一番の収穫でした。 水下明美さんからは「介護支援専門員がかかえる課題が 現場ではどういう形で露呈しているか」というとても貴重なお話しを聞くことができました。 4/27の「どうなるケアマネジメント・どうするケアマネジャー~2012年介護報酬改定のあとにくるもの」フォーラムの参考にしたいと思います。 「ネットワークが大事だ」とよく言われますが ネットワークという「システム」が大切なのではなく「人とひとが意見や情報を交換し助けあえる関係」が必要だということを改めて実感じました。

2012年4月19日木曜日

ケアマネだけの問題じゃありません

昨日 4/27に開催するフォーラム「どうなるケアマネジメント・どうするケアマネジャー~2012年介護報酬改定のあとにくるもの」のシンポジストの4人(阿部崇菅原由美高岡里佳長谷川佳和)の方々と打ち合わせを行いました。
そのままシンポジウムとして みなさんに聞いていただきたいと思う話ばかりで大いに盛り上がりました。
ケアマネジメントの将来は ケアマネジャーだけでなく介護・医療事業を提供する者すべてに そして何より利用者やその家族にとって計り知れないほど大きな意味を持っています。
ここをしっかり考え 発言・行動していかなければ 豊かな高齢社会など夢物語です。
今日 シンポジストのお一人から「当日は ライブ感たっぷりのシンポジウムになりそうですね。ケアマネジャーの新たな未来に向けて 自分なりの発信ができるといいなと思いました」というメールをいただきました。
ご期待ください。