私が参加している 医療関係者が中心のメーリングリストに ある在宅医から 次のような内容の投稿がありました。
ホスピス病棟に赴任していたころの経験。希望と現実の大きなギャップが 患者に怒りを生み出すことがある。
その矛先が 医療者である自分に向けられ「この本には病気が治ると書いてあるのに どんどん具合が悪くなるのは 先生 あなたがいけない」などと言われる。
少しでも力になりたいと思い 緩和医療・心理学・哲学・宗教など様々な勉強をするが ある患者の前では まったく歯が立たない。逃げ出したい思いになり その患者の部屋に入ることがなかなかできない。夕方遅く 勇気を出して行っても 返り討ちにあい とぼとぼ帰ってくる。
そんな日々があったそうです。
「誰かの支えになりたい…誰かの支えになりたい…そう思う私こそ 一番 支えを必要としていると学びました」
「本当の力は 自分の弱さ・無力を認める力だと思います。力になりたいと思う関係は 相手と上下の関係です。…自分の弱さを認めるとき どんなに困難な患者さん・家族でも逃げないで最期まで関わる本当の力につながることができると思います」
と書かれていました。
心に沁み入る言葉でした。
思い出したのが マサチューセッツ工科大学(MIT)のオットー・シャーマーの著書『U理論入門』に記述してあった 以下のようなエピソードです。
「ドイツのある農村地域で 医師のネットワークによるプロジェクトが行われていた。そのネットワークが 患者・医師間でダイアログ(対話)フオーラムを行った。
当初 患者と医師たちは うわべだけの議論や言い合いを行っていた。
ところが ある女性の「あなたがたのことがとても心配です。私たちのシステムが あなたや私たちの最高のお医者様を殺してしまうなんていやです。何かお役に立てることはないのでしょうか」という問いが医師と患者の会話パターンを一変させた。
人々は バラバラの個人として議論する一方だった通常の状態を越え お互いの関係性の構造を変化させていった」
という内容です(ちなにみ このネットワークは年中無休の医師ホットライン体制を採用し 低コストで高品質の救急サービスを提供する新しい救急コントロールセンターを設立することになったそうです)。
複雑さを増していく世界。私たちが生きていく道は 二項対立の囚われから解き放たれるところにあるのだと思います。
2015年4月8日水曜日
2014年10月27日月曜日
地域包括ケアの半歩先ゆく進み方

テーマは「地域包括ケア時代のビジネスモデル『ギャップシニア・コンソーシアム』のリリース」です。
ギャップシニアとは「虚弱~要支援の高齢者」を指す造語です。
官民一体でプラットフォームを作り 新しい生活サービスを充実させる試みで「自助に互助をミックスさせた民間の智恵」から生まれたスキームといえます。
民間の智恵が 地域包括ケアを担うイノベーションを生み出すかどうか 大きな注目を集めています。
私も「介護報酬マイナス6%改定の真相」や「機能に応じた報酬体系の姿」など ヘルスケア事業関係者なら誰でも知りたい最新の話題をお話しします。
ご参加をお待ちしています。
2014年10月14日火曜日
介護報酬6%マイナス改定の波紋
10/8の財政制度等審議会(財政審)で提起された「介護報酬の6%マイナス改定」が波紋を呼んでいます。
9日には日本慢性期医療協会の武久洋三会長が定例記者会見で 翌10日には全国老人保健施設協会の東憲太郎会長が緊急会見で 反対を表明しました。
業界では 消費税増税を受けて 報酬改定について「ある種の楽観論」も広がっていましたが 9/18付の日本経済新聞の「介護職員賃上げへ 15年度 月1万円 人手を確保 賃金以外の介護報酬を抑制」報道をきっかけに 10/3の「介護事業経営実態調査」による収支差率発表へと大きく潮目が変わりました。
もちろん財務省が介護報酬の引き下げを求めるのは毎度のことで 年末の予算編成に向けた財務省と厚生労働省の折衝次第で結果は違ってきます。
しかし今回は「介護職員処遇改善加算」を人質にとられ 特養や通所介護のマイナス改定は避けられない情勢といえるでしょう。
風雲急を告げる報酬改定と介護保険制度改革の着地点を示すセミナー「介護報酬改定の半歩先を行く地域包括ケア事業の作り方-報酬と基準を先取りし 大改革を乗り越える事業を再構築するために」を11/29(土)に開催します。
時代が求める事業構築の道筋をていねいにお示しします。
セミナー概要と申込書はこちらからどうぞ。
9日には日本慢性期医療協会の武久洋三会長が定例記者会見で 翌10日には全国老人保健施設協会の東憲太郎会長が緊急会見で 反対を表明しました。
業界では 消費税増税を受けて 報酬改定について「ある種の楽観論」も広がっていましたが 9/18付の日本経済新聞の「介護職員賃上げへ 15年度 月1万円 人手を確保 賃金以外の介護報酬を抑制」報道をきっかけに 10/3の「介護事業経営実態調査」による収支差率発表へと大きく潮目が変わりました。
しかし今回は「介護職員処遇改善加算」を人質にとられ 特養や通所介護のマイナス改定は避けられない情勢といえるでしょう。
風雲急を告げる報酬改定と介護保険制度改革の着地点を示すセミナー「介護報酬改定の半歩先を行く地域包括ケア事業の作り方-報酬と基準を先取りし 大改革を乗り越える事業を再構築するために」を11/29(土)に開催します。
時代が求める事業構築の道筋をていねいにお示しします。
セミナー概要と申込書はこちらからどうぞ。
2014年8月27日水曜日
福岡で高齢者住宅の経営戦略をお話します

『地域包括ケアが求める「住まい」と「住まい方」~支援・サービスと高齢者住宅~』という演題で 社会と制度の動向と利用者のニーズを踏まえ 医療法人・社会福祉法人・営利法人が 高齢者の住まい事業にどう取り組んでいけばいいのかをお話します。
診療報酬改定の影響と来年度の介護報酬の動向 さらには「ヘルスケアリート」の行方や空家を活用した低所所得者向けの住宅施策の目指すものなど 地域包括ケアシステムの構築にあわせた経営戦略をお示ししたいと思います。
参加費は無料です。
セミナー概要と申込書はこちらから入手できます。
多くのみなさまのご参加をお待ちしております。
2014年8月19日火曜日
ヘルスケアの将来像を問う新刊です!
毎年 監修ないしは編集委員を務めている『介護経営白書2014-2015年版』が刊行されました。
今年度のテーマは「介護の使命と将来像 地域包括ケア時代の『人づくり』」です。
ぜひ ご一読いただければと思います。
今年度のテーマは「介護の使命と将来像 地域包括ケア時代の『人づくり』」です。
介護の本質的使命と大きく変貌する時代の流れを踏まえ 「介護人材育成」のあり方を多角的な観点から検証し 介護と介護経営の将来ビジョンを浮き彫りにすることを念頭に置いています。
「巻頭特別対談 この国の医療と介護のあり方を問う―10年後の医療と介護そして社会の行方」では 中医協委員に加え社会保障審議会介護給付費分科会と介護保険部会の委員を兼務することになった鈴木邦彦・日本医師会常務理事と「医療と介護の連携の課題と展望」についてディスカッションを行っています。
また「第2編 概説 介護業界の未来を占う―自らの存在を問い他者の知を探れ」では 地域包括ケア時代に取り残されないためのキーポイントを述べてみました。「巻頭特別対談 この国の医療と介護のあり方を問う―10年後の医療と介護そして社会の行方」では 中医協委員に加え社会保障審議会介護給付費分科会と介護保険部会の委員を兼務することになった鈴木邦彦・日本医師会常務理事と「医療と介護の連携の課題と展望」についてディスカッションを行っています。
ぜひ ご一読いただければと思います。
2014年7月16日水曜日
ヘルスケアから生まれる日本発グローバルモデル
テーマは「この国の医療と介護のあり方を問う―10年後の医療と介護そして社会の行方」。
鈴木氏は 直近の改選で 中医協委員に加え社会保障審議会介護給付費分科会と介護保険部会の委員を兼務するという異例の処遇となりました。
日本医師会が「地域包括ケア」とその大前提となる「医療と介護の連携」に本腰を入れた証左といえます。
詳細は 近々刊行される同書および7/19・8/23日のセミナー「給付費分科会と老人保健事業報告書から読み解く報酬改定」(申し込み受付中)でご確認いただければと思いますが 日医の覚悟が伝わってくる対談でした。
少子高齢化のトップランナーであるわが国の特性と質の高い医療を生かした「日本型」の地域包括ケアシステム構築に意欲を示していただいたことには 掛け値なしに期待したいと思います。
医療機関も介護事業者も 保険料と公費で成り立つ社会保障のスキームの中のプレイヤーだという自覚のもと「報酬誘導しかビジョンの実現手段がない」という情けない状況から脱却しなくてはなりません。
「官」ではなく「民」が主体となって築いてきた 欧州にはない しかも米国流でもない 日本発のグローバルモデルが ヘルスケアから生まれることを望んでいます。
2014年7月15日火曜日
地域づくりは私たちの手で
昨日「地域善隣事業 全国会議」に行ってきました。
これは 既存の制度では対応が難しい低所得高齢者の住まいの問題を 空家などの既存ストックを活用して住宅の確保し あわせて生活支援を提供する新しい事業スキームを全国に広めようと高齢者住宅財団が中心となって行っている試みです。
この日は ここから生まれた厚生労働省の「低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業」を実施する自治体の事例が発表されました。
私が特に関心を引き付けられたのは福岡市のモデル事業です。
保証人が確保できずに地域で自立した生活を送れない高齢者の入居を支援するため「自社保証方式」を導入し 高齢者の住宅あっせんに消極的な不動産会社を巻き込んで 高齢者・家主・不動産会社などのステークホルダーが Win-Win の関係を構築していく Fundraising の手法を取り入れていることです。
政府や自治体の財源に頼った社会保障や地域づくりからの脱却が「地域包括ケア」の大きな特徴です。
このような「お上」をあてにしない民間と自治体のコラボがさらに加速することを期待しています。
7/19・8月23日のセミナー「給付費分科会と老人保健事業報告書から読み解く報酬改定」では これら最先端のトレンドに事業者がどう取り組んでいけばいいかをじっくりお話します。
まだ申し込みを受け付けていますので ご参加をお待ちしています(両日は無理でも どちらかの日程だけのご参加も歓迎します)。
これは 既存の制度では対応が難しい低所得高齢者の住まいの問題を 空家などの既存ストックを活用して住宅の確保し あわせて生活支援を提供する新しい事業スキームを全国に広めようと高齢者住宅財団が中心となって行っている試みです。
私が特に関心を引き付けられたのは福岡市のモデル事業です。
保証人が確保できずに地域で自立した生活を送れない高齢者の入居を支援するため「自社保証方式」を導入し 高齢者の住宅あっせんに消極的な不動産会社を巻き込んで 高齢者・家主・不動産会社などのステークホルダーが Win-Win の関係を構築していく Fundraising の手法を取り入れていることです。
政府や自治体の財源に頼った社会保障や地域づくりからの脱却が「地域包括ケア」の大きな特徴です。
このような「お上」をあてにしない民間と自治体のコラボがさらに加速することを期待しています。
7/19・8月23日のセミナー「給付費分科会と老人保健事業報告書から読み解く報酬改定」では これら最先端のトレンドに事業者がどう取り組んでいけばいいかをじっくりお話します。
まだ申し込みを受け付けていますので ご参加をお待ちしています(両日は無理でも どちらかの日程だけのご参加も歓迎します)。
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