15日のブログ「社会福祉法人制度にメスが?!」で書いたように「久しく手つかずの状況にあった社会福祉法人改革」がいよいよ本格的に着手されるようです。
昨日の社会保障審議会介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会(委員長:田中滋慶応大学大学院教授)で「特別養護老人ホームの内部留保」について報告・審議が行われました。
1施設あたりの「実在内部留保=内部資金の蓄積額のうち現在事業体が未使用の状態で保持している額」は1億5563万円「発生源内部留保=内部留保の源泉で捉えた『貸借対照表の貸し方に計上されている内部資金』」は3億1373万円と報告されました。
内部留保の多寡の判定では「実在内部留保が多い」と判定された特養は約3割 「少ない」とされたのものは約5割でした。
「特養の内部留保をめぐる議論は『埋蔵金論争』として今後社福法人全体に広がる可能性がある」(5月22日付日本経済新聞)という報道もありますが 施設ごとにバラツキもあるため この調査結果だけをもって「特養は『溜め込みすぎ』だ」と決めつけるのは短絡的すぎるでしょう。
それよりも大切なことは 社会福祉法人としての「レゾンデートル:raison d'être(存在意義)」を明らかにすること 言い換えれば「役割」「機能」と「展望」を 市民や地域に積極的にアピールすることができるか否かにあります。
2013年5月22日水曜日
2013年5月21日火曜日
「地域包括ケア」を否定する政府?!
昨年「高齢者は「地方」で暮らせ!?」というブログを書きましたが いよいよ昨日から「都市部の高齢化対策に関する検討会」の審議が始まりました。
各紙の報道は「『これから都市部で生じる爆発的な介護需要の増加にどう対応するか。待ったなしだ。』原勝則老健局長は検討会で述べた」(朝日新聞)など「大本営発表」的な色彩を強く感じます。
「日本版のCCRCを提言」
「要介護状態になってからでは難しい。退職した時点からの転入が望ましい」
など委員の発言を聞いても すでにわが国では受け入れられなったコンセプトの蒸し返しにしか思えません。
なにより昨年も書いたように 政府方針の「地域包括ケア」を自ら否定してとどう整合性をとるつもりなのでしょうか。
各紙の報道は「『これから都市部で生じる爆発的な介護需要の増加にどう対応するか。待ったなしだ。』原勝則老健局長は検討会で述べた」(朝日新聞)など「大本営発表」的な色彩を強く感じます。
「日本版のCCRCを提言」
「要介護状態になってからでは難しい。退職した時点からの転入が望ましい」
など委員の発言を聞いても すでにわが国では受け入れられなったコンセプトの蒸し返しにしか思えません。
なにより昨年も書いたように 政府方針の「地域包括ケア」を自ら否定してとどう整合性をとるつもりなのでしょうか。
2013年5月15日水曜日
社会福祉法人制度にメスが?!
13日付の「日本経済新聞」は「政府 病院再編へ新型法人を検討 地域ごとに一体経営」という見出しで報道をしています。
明日の「経済財政諮問会議」(議長・安倍晋三首相)で「医療法人同士の合併や権利の移転をしやすくなるよう医療法人制度の規制緩和を進めるべきだ」との提言が行われるという内容です。
これは社会福祉法人にとって 決して「対岸の火事」ではありません。
「社会保障制度改革国民会議」の議論でも
○医療法人制度及び社会福祉法人制度については 新しいまちづくりを促進する仕組みの構築が必要であり 具体的には、医療法人制度(及び社会福祉法人制度)の経営統合を促進する制度 医療法人(及び社会福祉法人)の「非営利性」を担保しつつ都市再開発に参加できるようにする制度 ヘルスケアも含むコンパクトシティに対する資金調達手段を促進する制度など総合的な規制の見直しが必要。
○社会福祉法人こそ 経営の合理化・近代化が必要。大規模化や複数法人の連携を推進。加えて社会福祉法人非課税扱いとされているに相応しい 国家や地域への貢献が求められるべき。低所得者の住まいや生活支援などに積極的に取り組むべき。
とされているのです。
日経の報道は この政府方針に基づいたものです。
となれば 次に来るのは 間違いなく 久しく手つかずの状況にあった社会福祉法人改革ということです。
明日の「経済財政諮問会議」(議長・安倍晋三首相)で「医療法人同士の合併や権利の移転をしやすくなるよう医療法人制度の規制緩和を進めるべきだ」との提言が行われるという内容です。
これは社会福祉法人にとって 決して「対岸の火事」ではありません。
「社会保障制度改革国民会議」の議論でも
○医療法人制度及び社会福祉法人制度については 新しいまちづくりを促進する仕組みの構築が必要であり 具体的には、医療法人制度(及び社会福祉法人制度)の経営統合を促進する制度 医療法人(及び社会福祉法人)の「非営利性」を担保しつつ都市再開発に参加できるようにする制度 ヘルスケアも含むコンパクトシティに対する資金調達手段を促進する制度など総合的な規制の見直しが必要。
○社会福祉法人こそ 経営の合理化・近代化が必要。大規模化や複数法人の連携を推進。加えて社会福祉法人非課税扱いとされているに相応しい 国家や地域への貢献が求められるべき。低所得者の住まいや生活支援などに積極的に取り組むべき。
とされているのです。
日経の報道は この政府方針に基づいたものです。
となれば 次に来るのは 間違いなく 久しく手つかずの状況にあった社会福祉法人改革ということです。
2013年4月30日火曜日
偏見と誤解を乗り越えて
27日の土曜日 恒例の大熊由紀子さん(国際医療福祉大学大学院教授・ジャーナリスト)の主催する「『えにし』を結ぶ会」に参加しました。
第3部「日本も、本格的な認知症の国家戦略を!!!」では 冒頭 佐藤雅彦さん(1954 年生まれ)と中村成信さん(1950年生まれ)のお二人の若年認知症の当事者が軽妙なトークを繰り広げました。
ご覧になれば 認知症に対する誤解と偏見が一挙に解消するはずです。
明るく元気に生活しているお二人ですが 認知症という診断が下ったときは立ち直れないかと思うほどのショックを受けたと語ってくれました。
中村さんの場合は スーパーで万引きした疑いで逮捕されたことがきっかけでした。自分ではお金を払わずに商品を持ち出した覚えがなく「これは冤罪だ」と繰り返しました。起訴は見送られましたが 事件後懲戒免職になりました。
そのお二人が異口同音に話したのは「できないことを悩むのではなく できることに希望を見出す」ことです。
障害や病気・年齢などの差や有無にかかわらず「お互いに声を掛け合う社会」「有用性だけを尺度にせず すべての人が等しく尊い存在であると認める社会」こそが 希望と活力を生み出してくれるでしょう。
第3部「日本も、本格的な認知症の国家戦略を!!!」では 冒頭 佐藤雅彦さん(1954 年生まれ)と中村成信さん(1950年生まれ)のお二人の若年認知症の当事者が軽妙なトークを繰り広げました。
ご覧になれば 認知症に対する誤解と偏見が一挙に解消するはずです。
明るく元気に生活しているお二人ですが 認知症という診断が下ったときは立ち直れないかと思うほどのショックを受けたと語ってくれました。
中村さんの場合は スーパーで万引きした疑いで逮捕されたことがきっかけでした。自分ではお金を払わずに商品を持ち出した覚えがなく「これは冤罪だ」と繰り返しました。起訴は見送られましたが 事件後懲戒免職になりました。
そのお二人が異口同音に話したのは「できないことを悩むのではなく できることに希望を見出す」ことです。
障害や病気・年齢などの差や有無にかかわらず「お互いに声を掛け合う社会」「有用性だけを尺度にせず すべての人が等しく尊い存在であると認める社会」こそが 希望と活力を生み出してくれるでしょう。
2013年4月8日月曜日
「聖域」なき議論に期待
以前このブログで「島崎謙治政策研究大学院大学教授が医療の『フリーアクセス』について見直しを言及した」という話題を取り上げました。
学者や保険者が「フリーアクセス」の見直しを主張することは ある意味必然ではありますが ついに医療界自身からもこの問題を議論の俎上に上げようという意見が出てきました。
発端は「第6回社会保障制度改革国民会議」(3月13日開催)において 大島伸一国立長寿医療研究センター総長が「医療は相当部分壊れかかっている」としたうえで「フリーアクセスの問題を避けて通ることはできない」と発言したことです。
同日の会議でも複数の委員から賛意を示す発言が見られました。
さらには 27日開かれた第7回の同会議では「四病院団体協議会」(四病協)が「地域ごとの需要に応じた専門医の上限を設定するマンパワー規制・自由開業規制も必要」という認識を示しました。
いくらすばらしい政策や制度も 時代とともにその存在意義や形態が変化するのは当然です。
「『聖域』を設けないで議論すること」「既得権に恋々としないこと」が 活力ある社会を生み出す原動力です。
学者や保険者が「フリーアクセス」の見直しを主張することは ある意味必然ではありますが ついに医療界自身からもこの問題を議論の俎上に上げようという意見が出てきました。
発端は「第6回社会保障制度改革国民会議」(3月13日開催)において 大島伸一国立長寿医療研究センター総長が「医療は相当部分壊れかかっている」としたうえで「フリーアクセスの問題を避けて通ることはできない」と発言したことです。
同日の会議でも複数の委員から賛意を示す発言が見られました。
さらには 27日開かれた第7回の同会議では「四病院団体協議会」(四病協)が「地域ごとの需要に応じた専門医の上限を設定するマンパワー規制・自由開業規制も必要」という認識を示しました。
いくらすばらしい政策や制度も 時代とともにその存在意義や形態が変化するのは当然です。
「『聖域』を設けないで議論すること」「既得権に恋々としないこと」が 活力ある社会を生み出す原動力です。
2013年2月5日火曜日
心を打つ先駆者のエール
日曜日に「『駐在型訪問看護ステーション構想』Part2~わがまちに訪問看護ステーションを!」フォーラムに行ってきました。
「地域包括ケアの理念となっている『だれでもが望み通り住み慣れた街で最期まで住み続けることができるようにする』ための鍵となる訪問看護師=地域看護師をどう増やしていくか」がテーマです。
シンポジウムには 被災地特例を活用して一人で訪問看護ステーションを立ち上げた一関市・南相馬市・石巻市の3人の看護師が顔をそろえ 熱のこもった現地の活動を伝えてくれました。
専門家・有識者の代表として 樋口恵子高齢社会をよくする女性の会代表・山崎摩耶前衆議院議員・佐藤美穂子訪問看護財団常務理事・藤本康二前経済産業省ヘルスケア産業課長が登壇し 3名のナースにエールを送るとともに 今年3月で終了する被災地特例の延長と人員基準そのものの見直しを訴えました。また会場には「開業ナース」の草分けで 昨年フローレンス・ナイチンゲール記章を受章した在宅看護研究センターLLP代表の村松静子さんもいらっしゃいました。
30年間 周囲の無理解も意に介さず しゃにむに利用者・患者のために打ち込んできたからこそ「よくぞここまで」という感慨と同時に「まだようやくこれだけ」という不全感という矛盾した感情抱いていることを吐露してくれました。
彼女の歩んだ茨の路を想うと 激励の言葉の一つひとつが かけがえのない重みを持ったたものとして 会場の参加者すべての心を打ったように感じました。
とかく「総論賛成・各論反対」で遅々として進まない市民本位の規制改革ですが なんとかして動かせないかという思いがつのりました。
「地域包括ケアの理念となっている『だれでもが望み通り住み慣れた街で最期まで住み続けることができるようにする』ための鍵となる訪問看護師=地域看護師をどう増やしていくか」がテーマです。
シンポジウムには 被災地特例を活用して一人で訪問看護ステーションを立ち上げた一関市・南相馬市・石巻市の3人の看護師が顔をそろえ 熱のこもった現地の活動を伝えてくれました。
専門家・有識者の代表として 樋口恵子高齢社会をよくする女性の会代表・山崎摩耶前衆議院議員・佐藤美穂子訪問看護財団常務理事・藤本康二前経済産業省ヘルスケア産業課長が登壇し 3名のナースにエールを送るとともに 今年3月で終了する被災地特例の延長と人員基準そのものの見直しを訴えました。また会場には「開業ナース」の草分けで 昨年フローレンス・ナイチンゲール記章を受章した在宅看護研究センターLLP代表の村松静子さんもいらっしゃいました。
30年間 周囲の無理解も意に介さず しゃにむに利用者・患者のために打ち込んできたからこそ「よくぞここまで」という感慨と同時に「まだようやくこれだけ」という不全感という矛盾した感情抱いていることを吐露してくれました。
彼女の歩んだ茨の路を想うと 激励の言葉の一つひとつが かけがえのない重みを持ったたものとして 会場の参加者すべての心を打ったように感じました。
とかく「総論賛成・各論反対」で遅々として進まない市民本位の規制改革ですが なんとかして動かせないかという思いがつのりました。
2013年1月15日火曜日
薬ネット販売解禁を「他山の石」に
最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は11日インターネットなどによる医薬品の通信販売を禁止している厚生労働省令を「薬事法の趣旨に適合せず 違法で無効だ」とする判決を下しました。
厚労省は2009年6月に施行された改正薬事法の改正で 大衆薬を副作用のリスクが高い順に第1類から第3類医薬品に分類し 第1類医薬品と第2類医薬品について「店舗で対面で販売させなければならない」とネット販売を原則禁止していました。
判決は「旧薬事法で認められていたネット販売の禁止が 職業活動の自由を相当程度 制約するのは明らか」ともしています。
患者・消費者目線に立てば「対面販売でないと安全性を担保できない」という論理は いかにも時代遅れ。
「薬局へ行きたくともいけない人がいる」という事実から目をそらし ネット販売が危険であるかのような主張を繰り返し 既得権を守ることだけに執着していた業界団体には猛省を促したいと思います。
本気で経済再生を目指すなら 株価や金融政策よりも このような国民・市民をないがしろにした「内輪のなれあい的規制」を緩和し 企業活動を活性化させることが本筋なのは当然でしょう。
実際に アマゾンなどネット企業やセブン&アイ・ホールディングスなどの流通大手に加え これまで通販に反対してきたドラッグストア業界でもネット販売への参入が進むものとみられています。
薬のネット販売に限らず 日本と日本人の活力を束縛している無用な規制やしがらみは まだまだ多く残っています。
新政権が「前政権の否定」に固執して せっかく進んだ改革まで元に戻してしまうようでは 政治不信がさらに増大するだけでなく 2025年を乗り切ることなど到底できないでしょう。
厚労省は2009年6月に施行された改正薬事法の改正で 大衆薬を副作用のリスクが高い順に第1類から第3類医薬品に分類し 第1類医薬品と第2類医薬品について「店舗で対面で販売させなければならない」とネット販売を原則禁止していました。
判決は「旧薬事法で認められていたネット販売の禁止が 職業活動の自由を相当程度 制約するのは明らか」ともしています。
患者・消費者目線に立てば「対面販売でないと安全性を担保できない」という論理は いかにも時代遅れ。
「薬局へ行きたくともいけない人がいる」という事実から目をそらし ネット販売が危険であるかのような主張を繰り返し 既得権を守ることだけに執着していた業界団体には猛省を促したいと思います。
本気で経済再生を目指すなら 株価や金融政策よりも このような国民・市民をないがしろにした「内輪のなれあい的規制」を緩和し 企業活動を活性化させることが本筋なのは当然でしょう。
実際に アマゾンなどネット企業やセブン&アイ・ホールディングスなどの流通大手に加え これまで通販に反対してきたドラッグストア業界でもネット販売への参入が進むものとみられています。
薬のネット販売に限らず 日本と日本人の活力を束縛している無用な規制やしがらみは まだまだ多く残っています。
新政権が「前政権の否定」に固執して せっかく進んだ改革まで元に戻してしまうようでは 政治不信がさらに増大するだけでなく 2025年を乗り切ることなど到底できないでしょう。
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